2016 Fiscal Year Research-status Report
MCT8異常症の新規診断法の開発と神経障害モデル動物を用いた遺伝子治療の有効性
Project/Area Number |
16K19676
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
岩山 秀之 愛知医科大学, 医学部, 助教 (00757726)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | MCT8異常症 / 遺伝子治療 / 早期診断 / 甲状腺ホルモン / 輸送膜蛋白 / reverse T3 / 先天性大脳白質形成不全症 / 精神運動発達遅滞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、遺伝性甲状腺疾患(MCT8異常症)の早期診断法、モデルマウスの作製、遺伝子治療法の開発を目的とした。MCT8異常症は、脳内への甲状腺ホルモンの輸送障害によって重度の神経障害を呈する遺伝性疾患で、現時点では診断・治療法がない。以下に現在までの進捗状況を記載する。 1) LC-MS/MSによる血清でのreverse T3の測定法を確立した。臨床検体を用いた測定結果を、日本医用マススペクトル学会、日本小児内分泌学会で発表し、英語論文(査読あり)に掲載予定である。現在、濾紙血からのreverse T3の測定法を研究中である。 2) モデルマウスは遺伝子解析を行い、間違いなくノックアウトマウスが得られていることを確認した。現在、ノックアウトマウスの繁殖と表現型解析(realtime-PCR、免疫染色、ウェスタンブロット)を行っている。今後、マイクロCT/MRIによる表現型解析(放射線医学総合研究所)や行動解析(藤田保健衛生大学)を予定している。 3) 遺伝子治療研究は、表現型解析が間に合わずほとんど行うことができなかった。ウィルスベクターの設計を行い、米国のVector Biolabsより購入は終了している。表現型解析が終了後、速やかに(3か月以内)研究を開始できる予定である。 研究の成果:早期診断法は、臨床検体の収集を開始する端緒を得た。モデルマウスが開発できたことは遺伝子治療研究への扉を開いたと言える。科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)のおかげで大いに研究を推進することができた。この場を借りて御礼申し上げる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1) 新生児濾紙血の収集体制の確立に時間を要しているが、問題解決のめどは立っており3か月以内に検体収集を開始できると考えている。 2) 遺伝子解析の研究系を立ち上げるのに時間を要したが、現在は問題なく遺伝子解析を行っている。 3) 遺伝子治療研究は、2)の表現型解析が間に合わずほとんど行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1)濾紙血が収集でき次第、速やかに臨床検体でのreverse T3の測定を開始し、正常群とMCT8異常症を新生児期にスクリーニング可能かを調査する。 2) 今後、モデルマウスに対するマイクロCT/MRIによる表現型解析(放射線医学総合研究所)や行動解析(藤田保健衛生大学)を予定している。 3) 表現型解析が終了後、速やかに(3か月以内)研究を開始できる予定である。
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Causes of Carryover |
金額が些少だったため、該当する金額に相当する経費が発生しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度に物品費として使用する予定である。
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