2016 Fiscal Year Research-status Report
先天性大脳白質形成不全症における予後関連因子としての神経細胞障害に関する病態研究
Project/Area Number |
16K19679
|
Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
李 コウ 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第二部, 科研費研究員 (70621994)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ペリツェウス・メルツバッハー病 / 髄鞘形成不全 / 神経変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
Pelizaeus-Merzbacher病(PMD)は中枢神経系の先天性大脳白質形成不全症の代表的疾患で、臨床的に生後から重度の精神運動遅滞を呈すが、10歳前後を堺に緩除に運動機能が低下する。この晩発性運動機能低下の原因として二次的神経障害の関与が考えられるが、その病態は全く不明である。我々は本疾患の一次病態である髄鞘形成不全により、無髄鞘状態に起因する神経細胞の異常なエネルギー代謝状態を来たし、これがミトコンドリア機能障害を誘導し、その結果過酸化ストレスによって、神経細胞体の変性が起こる、という仮説を立てた。本研究では、細胞形態と錐体神経細胞のミトコンドリア機能、神経電気生理学的な変化に焦点を当て、そこからグリア細胞と神経細胞機能の相互関係に来す病態を解明し、最終的に髄鞘形成不全に共通する神経細胞本体の生理機能変化を解明することを目的とする。 本研究の計画は以下の3項目について、PMDのモデルマウスを用いて、順次解析を進めていく。①神経細胞の軸索及びミトコンドリアの組織形態学的な変化の解析。②変性神経細胞の免疫組織学及び電気生理的な特徴の解析。③神経細胞のエネルギー代謝及びミトコンドリア機能の解析。 本年度の実績として①3週齢PLP1 Tgマウスを用いて、大脳一次運動野及び脊髄錐体路、線条体、内包での髄鞘形成不全と軸索の変性を電子顕微鏡で確認できた。今後は電子顕微鏡で神経細胞体及び軸索でのミトコンドリアの数と形態変化の有無を検討する。②3週齢PLP1 Tgマウスの脳スライスを用いて、大脳一次運動野部位の自発的な抑制性シナプス後電流を測定した。現在は、電気生理情報のサンプル数を増やし、モデルマウスの運動ニューロンの発火特性及び興奮性・抑制性シナプス後電流の解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度既に電子顕微鏡の標本を作製した。電気生理実験の手法も習得したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
PMDモデルマウスを用いて、中枢神経細胞の免疫組織学的な特徴の解析及びエネルギー代謝解析を行う予定。3週齢モデルマウスの大脳一次運動野、帯状回運動野の神経シナプトソームを単離し、シナプトソームのミトコンドリアによる基礎呼吸、共役呼吸および最大呼吸を細胞外フラックスアナライザーでモニタリングする。
|
Research Products
(2 results)