2017 Fiscal Year Research-status Report
小児脳性麻痺に対する臍帯血投与と運動刺激の併用療法による損傷脳再生機構の解明
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16K19686
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
王 飛霏 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 助教 (10629033)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 神経幹細胞 / 脳性麻痺 / リハビリテーション / 臍帯血幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳性麻痺に対する有望な新規治療法として、本学では日本初となる『脳性麻痺患者に対する自 己臍帯血幹細胞移植の臨床研究』が進められている。 本研究では、我々が開発した新生仔脳虚血再灌流障害モデルマウスを用いて、臍帯血投与と運動刺激(トレッドミルによるリハビリテーション)の併用療法による損傷脳修復機構を解明することを目的とした。併用することによってどのような機能改善効果が得られるのか、そして、脳内のサイトカイン変動と神経新生を解析し、神経組織が再生・修復される分子メカニズムを明らかにする。本研究成果をもとにさらに有効な治療戦略を創出し、臍帯血を用いた脳性麻痺治療の確立を目指す。 これまでに、新生仔脳虚血再灌流障害モデルマウスを作製し、脳障害を起こしたモデルマウスの脳内で神経幹細胞が活性化されていることを明らかにした。また、トレッドミル使用時の作業性乳酸閾値を測定し、リハビリテーションのパラメーターを決定した。 本年度は、モデルマウス脳内のサイトカイン・ケモカイン変動を測定し、脳障害側で高発現しているサイトカイン・ケモカインを同定した。また、初代神経幹細胞を胎生13.5日目のマウス脳線条体より採取し、神経幹細胞の遊走アッセイを行ったところ、障害側で高発現していたケモカインの一つであるCCL11が神経幹細胞の遊走・増殖を促進させることが明らかとなった。さらに、前年度決定したパラメーターを用いて臍帯血投与と運動刺激の併用療法による治療効果を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き、再現性の高いモデルマウスを用いることによって行動学的評価・組織学的評価、さらに脳内サイトカインの測定を行った。モデルマウスの脳障害側で高発現しているケモカインの一つであるCCL11が、神経幹細胞の遊走と増殖を促進させることを明らかにした。 よって、脳内サイトカイン変動を測定と培養神経幹細胞を用いたin vitroアッセイは概ね完了しているため、順調に進展している。 臍帯血投与と運動刺激による併用療法の治療効果の検討は、単独治療群と比較しながら行動学評価を行っており、例数がまだ少ないため、例数を増やすことと神経新生との関連を明らかにしていくのが今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度以降は、臍帯血投与と運動刺激の併用療法を行い、非治療群、単独治療群と比較し行動学評価と神経新生評価を行う。特に行動学的評価は、モリス水迷路 、バーンズ円形迷路、ホームケージ内活動量測定、梁歩行テストを重点的に行う。 神経新生は、BrdUの投与と神経マーカーの免疫染色によって評価する。 臍帯血投与後のサイトカイン・ケモカインの計測を行い、脳内の発現変化を測定する。CCL11や他のサイトカイン・ケモカインがマウスの脳内で神経新生にどのように関わっているかを明らかにしていく予定である。 また、臨床データと照らし合わせるため、引き続き本学医学部附属大学病院の産科婦人科・小児科と定期的なディスカッションを行う。
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Causes of Carryover |
産休・育休で研究を中断していた時期があり、研究費に未使用額が発生した。
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