2021 Fiscal Year Research-status Report
小児脳性麻痺に対する臍帯血投与と運動刺激の併用療法による損傷脳再生機構の解明
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16K19686
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
王 飛霏 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 助教 (10629033)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 神経幹細胞 / 臍帯血幹細胞 / 脳性麻痺 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、新生仔脳虚血再灌流障害モデルマウスに対する臍帯血投与と運動刺激(リハビリテーション)の併用療法による損傷脳修復機構の解明を目指して取り組んでいる。新生仔脳虚血再灌流障害モデルマウスでは、脳障害側の神経幹細胞が活性化され、障害部位に向かって活発に遊走していた。このモデルマウスに対してトレッドミルを用いたリハビリテーションを行なったところ、臍帯血投与群、運動刺激群、併用療法群、コントロール群において海馬及び脳室下帯での神経新生の有意な差は認められなかった。 次に、モデルマウスの脳組織を用いてサイトカイン定量抗体アレイを行ったところ、脳障害側で高発現しているケモカインの中で、CCL11が特定の受容体を介して神経幹細胞の増殖と遊走を活性化することを明らかにした。 また、モデルマウスに対する臍帯血細胞投与により、脳組織内のケモカイン産生が大きく変動した。これらの発現プロファイルを解明することと組織修復や機能改善に関わる役割や機能を明らかにすることが今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リハビリテーションの条件を再検討し、臍帯血投与群、運動刺激群、併用療法群、コントロール群、それぞれの群の症例数をさらに増やしたが、明らかな有意差は認められなかった。今回作成したモデルマウスにとっては、リハビリテーションが大きな負担になってしまったと考えられる。培養細胞を用いた遊走アッセイでは神経幹細胞の活性化に関わるケモカインを同定し、引き続き分子メカニズムを解明中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は個体レベルだけではなく細胞及び分子レベルでの評価を検討している。モデルマウスの傷害脳組織と臍帯血細胞を試験管内で共培養し、培養上清中に産生されたサイトカインなどの発現を定量して、傷害刺激を受けた臍帯血細胞の役割を明らかにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、年度途中で研究中断を余儀なくしたため。今後の計画としては、モデルマウスの傷害脳組織と臍帯血細胞を共培養し、その微小環境の変化を解明していく予定である。
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