2017 Fiscal Year Research-status Report
脳性麻痺に対する臍帯血移植治療におけるケモカインネットワークの役割の解明
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16K19687
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
馬場 伸育 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 助教 (30711296)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ケモカイン / 臍帯血細胞 / マウス脳性麻痺モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
組織損傷や臍帯血移植に反応して特徴的な発現パターンを示したケモカイン分子について、その機能を検討するためケモカインレセプター発現やケモカインの作用を検討した。また、損傷を受けた組織では炎症反応が生じることから、ヒト臍帯血細胞が炎症刺激を受けた際のケモカインレセプターの発現変動を評価した。 ヒト臍帯血単核球のCD34陽性造血幹細胞分画、および、間葉系幹細胞を含むCD45陰性の細胞分画において、CXCR4、CXCR2、CCR2などいくつかのケモカインレセプターの発現が認められた。TNF-aやIFN-gなど炎症刺激存在下で培養すると、これらケモカインの発現はわずかであるが増強した。刺激により発現が増強したレセプターのひとつであるCX3CR1に対するリガンドCX3CL1は神経細胞の分化や生存に関与する機能を持つことから、刺激培養した臍帯血細胞をCX3CL1により再刺激して神経細胞の分化に関連する分子nerve growth factor receptor (NGFR) の発現変化からケモカイン刺激の影響について評価を試みたが、その効果はほとんど認められなかった。 ケモカイン分子の脳組織修復における機能を評価する方法や項目をさらに検討する必要がある。細胞の表現型の変化に加え、サイトカイン分泌能などからケモカイン刺激の効果を評価する予定である。また、内在性の脳組織細胞についても同様に、炎症刺激やケモカイン刺激による影響を評価したいと考えている。そして、複数のケモカインや炎症性サイトカインを組み合わせて、損傷組織の環境に近い条件でのケモカインの機能評価を計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ケモカインの定量と発現パターンの分析を行い、またケモカイン産生細胞を特定する実験を行った結果に基づき、特徴的なケモカイン分子の機能を検討する研究を行った。炎症刺激を受けた臍帯血細胞におけるケモカインレセプターの発現動態を評価することができた。しかし、炎症刺激やケモカイン刺激を受けた細胞の機能評価の方法や評価項目に課題を残した。
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Strategy for Future Research Activity |
損傷組織における修復反応には、移植した細胞と内在性の細胞の両方が関わると考えられることから、脳組織を構成する細胞に対して炎症刺激やケモカイン刺激を加えて、表現型の変化や細胞の機能を検討する実験を行うことを検討している。また、複数のケモカインや炎症刺激との組み合わせ刺激を行う。細胞の表現型の変化、分化能、サイトカイン分泌能などから、ケモカインと細胞の機能を評価する。さらに、特定のケモカイン分子について組織修復における生体内の機能評価へと発展させる。
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Research Products
(3 results)