2016 Fiscal Year Research-status Report
ヒストンメチル化機構の異常が大脳皮質発生に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
16K19693
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
坂口 友理 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (40464888)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 神経発生 / 小児神経 / 難病 / 先天奇形 |
Outline of Annual Research Achievements |
高次脳機能の中枢である大脳皮質の発生は、遺伝プログラムに従い進行しつつ環境因子により影響されることが判明してきている。特に、DNA塩基配列の変化を伴わない遺伝子発現機構の異常が、知的障害を合併する先天奇形症候群の病態メカニズムとして注目されている。本研究では、過成長、悪性腫瘍の合併、知的障害を主徴とするSotos症候群の原因であるヒストンメチル基転移酵素NSD1の機能異常に着目し、大脳皮質を形成する神経幹細胞の細胞分裂を促進する可能性について検討することを目標に実施した。 具体的には、NSD1遺伝子に対するRNA干渉を生じるプラスミドを作成のうえ、TRE-NSD1RNAiトランスジェニックマウスの作成を試みた。本トランスジェニックマウスはtetO配列を含むテトラサイクリン応答エレメント(TRE)の制御下で、rtTA・ドキシサイクリン共存下でNSD1RNAi転写産物を発現し、NSD1蛋白への翻訳を抑制することで蛋白量を減少させる。神経幹細胞に限定して発現するnestin蛋白の転写調節領域制御下でrtTAを発現するnestin-rtTAトランスジェニックマウスと本トランスジェニックマウスを交配すると、ドキシサイクリンが存在する時期のみ神経幹細胞でNSD1蛋白を減少させることが可能である。予備実験でNSD1蛋白を減少させうるNSD1RNAi転写産物を発現可能なプラスミドを用意してあったが、トランスジェニックマウス作成前の培養細胞での再現実験結果から、RNA干渉用配列が再現性をもってNSD1蛋白発現量を減少させていないことが判明し、現在新規配列を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画通りにトランスジェニックマウスが作成できていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
NSD1蛋白を減少可能な方法について、RNA干渉以外についても検討する方針である。
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Causes of Carryover |
トランスジェニックマウスが計画通りに作成できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
トランスジェニックマウス作成を進めるうえで必要な経費に使用する計画である。
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