2018 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of abnormal histone methylation on cerebral cortical histogenesis
Project/Area Number |
16K19693
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
坂口 友理 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (40464888)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 神経発生 / 小児神経 / 難病 / 先天奇形 |
Outline of Annual Research Achievements |
高次脳機能の中枢である大脳皮質は、緻密に計画された遺伝プログラムに従い胎児側脳室周囲にある神経幹細胞より神経細胞やグリア細胞を産生することで形作られる。大脳皮質の機能不全は知的障害や発達障害、精神疾患の原因となりうるが、ヒトに実施可能な臨床検査(MRI・脳波等)では異常を検出できない症例が圧倒的に多い。これらの異常には単一遺伝子の異常のみならず複数の遺伝子異常の組み合わせや、胎内環境の異常(感染、栄養、薬物曝露等)の関与が示唆されている。また特定の遺伝子配列に依存しないエピジェネティクス機構の異常が中枢神経の発生異常をきたす種々の先天奇形症候群の病態メカニズムとして注目されている。 本研究では、過成長、悪性腫瘍の合併、知的障害を主徴とするSotos症候群の原因であるヒストンメチル基転移酵素NSD1の機能異常に着目し、大脳皮質を形成する神経幹細胞の細胞分裂を促進する可能性について検討することを目標に実施した。本研究で作成するトランスジェニックマウスはtetO配列を含むテトラサイクリン応答エレメント(TRE)の制御下で、rtTA・ドキシサイクリン共存下でNSD1RNAi転写産物を発現し、NSD1蛋白への翻訳を抑制することで蛋白量を減少させる。神経幹細胞に限定して発現するnestin蛋白の転写調節領域制御下でrtTAを発現するnestin-rtTAトランスジェニックマウスと本トランスジェニックマウスを交配すると、ドキシサイクリンが存在する時期のみ神経幹細胞でNSD1蛋白を減少させることが可能である。 昨年同様、NSD1蛋白を減少させ得るNSD1RNAi転写産物を発現可能なプラスミドの作成を試みたが、再現性をもってNSD1蛋白の発現量を減少可能な配列を同定することができなかった。
|