2016 Fiscal Year Research-status Report
低出生体重児モデルラットにおいてARBは腎機能障害を抑制する
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16K19694
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
村野 弥生 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (80771922)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 子宮内発育遅延児 / DOHaD / 腎機能障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮内発育遅延児のモデルラットにアンギオテンシン受容体拮抗薬を投与し、腎機能障害を抑制できるかを検討することを目的に研究を行っている。 まず、今年度は子宮内発育遅延児(IUGR)のモデルラットの作成を行った。妊娠ラットを購入し、妊娠18日目に全身麻酔下に母ラットを開腹し、両側の子宮動静脈剥離して糸で結紮する手技を行った。その後、閉腹し、自然分娩で仔ラットの出生を待った。出生は妊娠22日目であった。仔ラットを子宮動静脈結紮を行なわず、開腹のみを行った対照群と、子宮動静脈結紮を行ったIUGR群に分けて出生体重を比較したところ、両群間に有意差を認めた。さらに、対照群とIUGR群をそれぞれ生理食塩水のみで成育する群とアンギオテンシン受容体拮抗薬(ARB)を投与する群にわけた。すべての仔ラットは4週齢まで母乳哺育を行い、その後オスのみをケージに移して、研究対象として成育した。対照群およびIUGR群の中のARB非投与群は通常通り飼育し、ARB投与群には14週から飲水中にARBを混ぜて投与した。成育中、4週毎に体重測定と採尿を行った。体重は出生後8週で両群間の有意差が消失した。尿検体は-80度で保管中である。32週ですべての仔ラットを解剖し、腎臓を摘出し、今年度の実験を終了した。 来年度は摘出した検体でRTPCR,免疫染色を行う予定である。また、必要に応じて採取した尿検体の解析も行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は子宮内発育遅延モデルが完成することと、それらを32週まで成育することが目標であった。モデルの作成は順調に進み、実験手技も失敗することなく終了した。32週齢まで仔ラット全員が生存し、問題なく薬物の投与を完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
32週齢まで成育したラットの腎臓を用いてまずRT-PCRを施行する予定である。現在、RT-PCRの項目としては過去の文献を参照し、TGF-B, aSMA, IL18, desmin, UCP2, TLRを予定している。それぞれのRNAの発現量を4群(子宮内発育遅延(IUGR)+飲水のみの群、IUGR+アンギオテンシン受容体拮抗薬(ARB)投与群、sham手術のみで通常に出生した仔のうち飲水のみの群、ARB投与群)に分けて比較する予定である。ARB投与を行うことでどのように腎機能障害が抑制されるかが不明であるため、類似の実験ではTGF-B,aSMAが多く測定されているご、それらのほかに過去の文献を参考に腎機能障害の指標となる項目を選んだ。これらで有意差を認めない場合は子宮内発育遅延児でのARBの腎機能障害抑制効果が認められないということが考えられるが、さらにほかの項目も検討していく予定である。 その後はRT-PCRで有意差を認めた項目、およびCD68の免疫染色、HE染色での腎臓形態の評価を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
実験器具の購入を予定していたが、納期が間に合わず、ほかの実験器具で代用したため、実験器具の購入費が余ってしまった。また、今年度予定していた国際学会への出席を見合わせたため旅費も余ってしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験器具は再度検討のうえ購入予定である。また、国際学会へは出席を予定しているので次年度に使用予定である。
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