2018 Fiscal Year Research-status Report
早産低出生体重児における脂肪細胞の数と大きさの変化が将来の疾病リスクに与える影響
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16K19695
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
中野 有也 昭和大学, 医学部, 講師 (40465224)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 低出生体重児 / 脂肪細胞 / 大きさ / 男児 |
Outline of Annual Research Achievements |
低出生体重児は将来インスリン抵抗性を獲得しやすく、それと関連してか、生活習慣病の発症リスクが高いことが知られている。本研究は「低出生体重児では、脂肪組織の数や大きさなどの点で、正期産AGA児と比較して異なる脂肪組織の発達が認められるのではないか」との仮説に基づいて立案された。その方法は、乳幼児期(6か月~5歳)に脂肪組織を採取し、合わせて血液検査を行い関連する指標を調べることで、周産期因子や生後の成長が脂肪組織の発達に与える影響を調査するものである。 現在まで約90名の対象から脂肪組織を採取し検討を加えているが、現在のところ男児のリクルートが多く、仮説を評価するための十分な数に達していない。そのためまずは、男児に限定して、低出生体重児群(9名)と39週~40週出生の正期産・AGA児(35名)での検討を行った。全体(44名)の検討で、脂肪細胞の直径の平均は、BMIおよび肩甲下皮脂厚とそれぞれ有意な正の相関を示し、出生体重、在胎期間、評価時の身長SDスコアと有意な負の相関を示した(それぞれ、p < 0.05)。また、低出生体重児群では、正期産AGA児群と比較して、有意に脂肪細胞の直径が大きく、これは評価時の年齢やBMIで調整した場合により顕著となった(p < 0.001)。一方で脂肪細胞の直径は、インスリンやHOMA-IR、アディポネクチンおよびレプチンなどの指標とは関係しなかった。以上の結果から、少なくとも男児においては、低出生体重児群で体格のわりに脂肪細胞のサイズが大きい傾向があることが示唆された。乳幼児期には、脂肪細胞の大きさとインスリン抵抗性、アディポネクチンやレプチンなどの関連指標との間に有意な相関は認められなかったが、この時期の脂肪細胞の大きさに両群間で違いが認められたことは重要な所見であり、それが将来の生活習慣病リスクにつながっていく可能性はあると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現時点では、女児および低出生体重児のリクルート数が目標に到達していない。対象候補者の条件を、乳幼児期に外鼠径ヘルニア、臍ヘルニア、停留精巣の手術を受けるものと設定しているため、原疾患の罹患率に性差があることと関連して、男児に偏ってしまっている。それ自体は予測していたことであり致し方ない部分もあるが、現在のところ予想以上に偏りがあり、リクルート期間の延長が必要な状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は1年間研究期間を延長し、女児および低出生体重児に限定してリクルートを継続する方針とした。現在までに男児に限定した検討では仮説の検証がある程度できているが、これを女児および低出資体重児を増やして再検討することで、その結果を確かなものとしたい。
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Causes of Carryover |
本研究計画へのエントリーが目標数に到達しておらず、それに伴い使用金額が目標所要額に到達していない。今後、本研究の結果をもって、国内外の学術集会での発表などを行う予定で経費を計上しており、それに関しても次年度に繰り越す。
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Research Products
(1 results)