2016 Fiscal Year Research-status Report
カテプシンCに焦点をあてた抗悪性腫瘍剤による手足症候群の病態解明
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16K19702
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
滝吉 典子 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (30568895)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 手足症候群 / カテプシンC / 掌蹠角化 / パピヨン・ルフェーブル症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
手足症候群は抗悪性腫瘍剤による皮膚障害の一症状で、主に手や足に生じる皮膚症状を総じて呼称されている。軽度の刺激感や発赤のみでとどまるグレード1から、高度な皮膚の角化や水疱形成、潰瘍形成などを引き起こし、日常生活に支障をきたすようなグレード3の重症度に至る症例もある。これら手足症候群が発症する機序については、未だ明らかになっていない。カテプシンCの抗体を用いた免疫組織化学的検索法で、健常人皮膚にカテプシンCが発現しており、パピヨン・ルフェーブル症候群患者の皮膚では発現がないことを確認している。本研究の目的は、手足症候群における掌蹠の炎症や過角化のメカニズムが、酵素カテプシンCとどのように関連しているかを明らかにすることにある。本研究の特色と独創的な点は、臨床的によく経験する手足症候群と、遺伝性掌蹠角化症であるパピヨン・ルフェーブル症候群が臨床的に類似していることに着目し、手足症候群とカテプシンCの発現とを結びつけた斬新な着想である。また、本研究の結果と意義は、本研究の臨床皮膚科の分野のみならず、化学療法を行う分野へ広く貢献し得ることである。本年度は、1)ソラフェニブをHaCaT ( 不死化表皮角化細胞株 ) の培養液中に添加、カテプシンCの発現量の変化確認。2 )マウスにソラフェニブを投与し、カテプシンC発現を免疫組織化学的検索法にて解析。3 )カテプシンCノックアウトマウスにソラフェニブを投与し、角化亢進の解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)ソラフェニブをHaCaT (不死化表皮角化細胞株) の培養液中に添加、カテプシンCの発現量の変化確認をした。2 )マウスにソラフェニブを投与し、カテプシンC発現を免疫組織化学的検索法にて解析を行った。3 )カテプシンCノックアウトマウスにソラフェニブを投与した際の、角化亢進の解析を行い皮膚変化に差異が生じるか組織学的に検討し、本年度の計画は順調に進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
手足症候群を発症した患者の血液から蛋白を抽出してカテプシンCの酵素活性を測定し、手足症候群の重症度との相関についての検討。カテプシンCの発現を上昇させるサイトカインの検出する。HaCaT (不死化表皮角化細胞株) の培養液中に手足症候群の原因薬剤と、カテプシンCの発現を上昇させるサイトカインを同時に投与したときの、カテプシンCの発現量について検討する。
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Research Products
(7 results)