2016 Fiscal Year Research-status Report
ヒト皮膚resident memory T細胞と皮膚疾患の関わりに関する解析
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16K19705
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
細川 玲 (渡辺玲) 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60463866)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 皮膚resident memory T細胞 / central memory T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は皮膚resident memory T細胞(TRM)が構築される機序について検討を行っている。当該年度では、末梢血中T細胞のどのような分画からCD103、CD69を発現する皮膚TRM分画が生じやすいかを明らかにするする目的で、末梢血T細胞の分画別に皮膚類似環境での培養下でTRMの表面マーカーを獲得する割合を調べた。具体的には、健常人の末梢血よりT細胞をmagnetic beadsで単離し、さらにT細胞からCD45RA+ naive T細胞、CD45RO+CCR7+CD62L+ central memory T細胞(TCM)、CD45RO+CCR7+CD62L- migratory memory T細胞(TMM)、CD45RO+CCR7-CD62L- effector memory T細胞(TEM)の分画をflow cytometryによりsortした。また、ヒトケラチノサイトの培養シートを作成し、表皮類似環境とみなした。これらのT細胞分画とケラチノサイト培養シートをそれぞれ抗CD3/CD2/CD28 T細胞刺激ビーズの存在下で共培養したところ、CD45RO+CCR7+CD62L+ TCMの分画のT細胞でCD103、CD69発現が高まる傾向があることが分かった。一方で、他の分画のT細胞においても、CD103、CD69の獲得が低い割合ながら見られた。TCM分画がより皮膚TRMを構築しやすいと考えられる一方で、他分画もTRM構築に関与することが示唆された。同時に行ってきたヒトT細胞追跡マウスモデルにおいても、上述のようにsortした末梢血T細胞分画を皮膚移植したマウスに移入したところ、同様にTCM分画から移植した皮膚への細胞移行が強くみられ、移植皮膚片でのTRM構築が強く見られる傾向があることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究計画では、末梢血中T細胞を分画別に皮膚類似環境で培養し皮膚TRMの表面マーカーを発現しやすい分画を同定すること、分画別にヒトT細胞追跡マウスモデルに移入し、移植したヒト皮膚片への移入T細胞の移行の程度や皮膚TRMの表面マーカーの獲得の程度を比較することを目標としており、TCM分画を皮膚TRMを構築する前駆細胞として候補に挙げることができたことから、おおむね研究計画は順調に進展していると評価した。実験数が有意差を定めるには至っておらず、データの蓄積が必要であるが、平成29年度の実験計画と併行して継続することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように、平成28年度の実験計画の中で有意差に至らなかった点は、実験系を繰り返しより明確な結果を導けるように継続していきたい。また、平成29年度の研究計画に挙げた通り、ヒト疾患の皮膚検体の解析も計画通り進行していく予定である。現在までで大きな障壁はみられていない。
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