2016 Fiscal Year Research-status Report
FTY720の乾癬に対する治療有効性の検討及び機序の解明
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16K19710
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鎌田 昌洋 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70431856)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 制御性T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、剃毛したマウスの背部皮膚にイミキモドを125mg/日で6日間連日外用したところ、鱗屑を伴い浸潤のふれる紅斑がみられ、乾癬皮疹が誘導されることを確認した。次に、野生型マウスにイミキモドを連日(6日間)外用し乾癬皮疹を誘導するが、同時にPBS 0.1mlまたはFTY720 0.1ml (3.0mg/kg)も連日腹腔内投与し、各マウスの背部皮膚における紅斑、浸潤、鱗屑の程度を乾癬重症度のスコア法であるPASI(Psoriasis Area and Severity Index)スコアに準じて、1-5のスコアリング(1なし、2軽度、3中等度、4高度、5極めて高度)で評価したところ、FTY720を投与した群の方がday 5, day 6においてスコアが優位に低く、FTY720が乾癬皮疹形成を抑制した。 次に、皮疹の組織学的評価のため、6日間のイミキモド連日外用が終了したFTY720およびPBS投与群の各マウスの背部皮膚を6mmトレパンを用いて採取し、ホルマリン固定パラフィン包埋し、6 μmの厚さで切片を作製し、ヘマトキシリン&エオジン染色を行い、1検体中5箇所をランダムに選び、表皮の厚さを測定したところ、FTY720投与後群の方が有意に表皮の厚さが有意に薄かった。また、炎症細胞浸潤を評価するため、400倍の拡大率で1検体中5箇所をランダムに選び炎症細胞をカウントしたところ、FTY720投与群の方が、視野あたりの浸潤細胞数が有意に低下していた。 更に、乾癬の皮疹に浸潤する制御性T細胞の数を、抗Foxp3抗体を用いた免疫染色により評価したところ、FTY720投与群の方が PBS投与群よりもFoxp3陽性細胞が多くみられた。従ってFTY720により、制御性T細胞が誘導され乾癬皮疹形成が抑制されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に予定していたイミキモド誘発乾癬モデルマウスの作成、FTY720投与群及びPBS投与群における皮疹の肉眼的評価、皮疹の組織学的評価、皮疹の免疫学的評価を予定通り実施できており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、予定通り、FTY720およびPBS投与イミキモド誘発乾癬マウスにおけるサイトカイン、ケモカインのmRNA発現の定量的解析をreal-time PCR法を用いて行う予定である。皮膚病変だけでなく、できれば鼠径リンパ節についても評価していきたい。両者を比較し、T細胞の分化やリンパ節から皮膚への遊走について解析、考察していきたい。
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