2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K19717
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
武市 拓也 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (30754931)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 皮膚遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、遺伝性角化症の包括的病態解明を目指し、さらに新規オーダーメイド治療に直結する基礎的データを得ることである。平成28年度の計画は、病因遺伝子が明らかにされていない遺伝性角化症の患者について、網羅的に全エクソームシークエンスを行い、新規病因遺伝子を同定する。そして同定した遺伝子およびその遺伝子産物が、どのような経路で角化症の病態に寄与しているかを、機能的に解明する研究であった。 研究計画に基づいて、既存の病因遺伝子変異のない遺伝性角化症の43症例と、非罹患血縁者の中で、表現型がはっきりしている症例、遺伝形式が推測しやすい家系、血縁者の検体を多く収集できた家系を4家系選び、罹患者の末梢血より抽出したgenome DNAを用いて、全エクソームシークエンス法を行った。全エクソームシークエンス解析には、Illumina社のHiseq2000とHiseq2500を使用した。その結果、4症例の中で、サンガーシークエンス法では特定できなかった、既存の病因遺伝子の変異を持つ家系が3家系あった。 また、残りの1家系からは、2016年に世界で初めて報告があった、常染色体劣性先天性魚鱗癬の新規遺伝子SDR9C7の変異を同定することができた。同定されたSDR9C7遺伝子変異について、全エクソームシークエンス法を実施しなかった家系における遺伝子変異解析、電子顕微鏡的解析、免疫組織化学を実施して、この遺伝子変異を持つ患者において、角層細胞間脂質の減少と層板顆粒内の層状構造物の減少を発見することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在のところ、平成28年度中に予定した研究は、計画通りに進んでいるから。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、1.同定された新規病因遺伝子と、既存の遺伝子変異を持つ患者の表現型を比較して、その相違点を包括的に分析する、2.集積された遺伝性角化症患者を、その遺伝子型に基づいて分類し、使用されている薬剤について調べ、その薬効について検討する、3.複数の角化症モデルマウスを用いて、in vivoでの各種薬剤の効果と副作用の発現を検証することを計画している。
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Causes of Carryover |
研究の進捗はおおむね計画通りだが、一部の研究について平成28年度中に結果が得られなかったため、その研究のための物品費と、その研究結果を発表するための旅費を次年度に使用する必要が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に終了することができなかった一部の研究について、結果が得られ次第、その物品費を使用し、研究成果について国際学会で発表する計画である。
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Research Products
(7 results)