2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of three-dimensional structure of human sweat glands
Project/Area Number |
16K19721
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
倉田 隆一郎 大阪大学, 薬学研究科, 招へい教員 (50773115)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 汗腺 / 3次元構造 / 分泌腺 / 筋上皮細胞 / 血管 / 神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
汗腺の発汗機能が低下する高齢者を中心に、熱中症患者の増加が社会的問題となっている。そのため、低下した発汗機能の改善を目指し、発汗を促す汗腺の収縮機構を明らかにすることにした。収縮機構を解明するには、汗腺器官の解剖学的構造を理解する必要がある。しかし、汗腺は複雑な3 次元構造を持つため、従来の組織学的な2次元形態解析ではその構造が解明できなかった。そこで我々は、3次元構造解析に有用なホールマウント免疫染色法を取り入れ、汗腺器官の解剖学的構造を解明することにした。 平成28年度は、発汗収縮に重要な汗腺コイル領域の詳細な3次元構造を解剖学的に解明した。汗腺コイル領域は、管同士が非常に密接し3次元的にコンパクトな構造を形成していた。また、コイル領域の分泌部の管構造は折れ曲がっているだけでなく管自体がタオルを絞ったようなネジれた構造を取っていた。更に、分泌部においては、非常に伸長した形状をとった筋上皮細胞が、分泌腺のネジれ方向に沿って長軸方向に配向していた。これらの結果から、汗腺は長い分泌腺を収縮する為に立体的に絡んだ構造を取り、さらに、それを効果的に収縮するために筋上皮細胞が特徴的な形状と配向配置を取ることが示唆された。 平成29年度は、発汗に重要な血管・神経の汗腺における「3次元的配置」と「発汗機能との関連性」を解剖学的に解明した。汗腺の血管は汗管と分泌部に非常に接近して配置されており、メッシュ状に汗腺を取り囲んでいた。このような配置は汗の分泌と再吸収を効率的に行うための特徴的な配置であると推測された。また、神経は汗腺の分泌部のみを立体的に取り巻くように配置されていた。これらの結果から、汗腺のコイル状の分泌部は、神経に取り巻かれた複数の筋上皮細胞が同調して、絡んだ分泌腺を効果的に収縮し、汗を分泌していることが示唆された。
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Research Products
(11 results)