2016 Fiscal Year Research-status Report
下肢静脈瘤の発症に関与する疾患感受性遺伝子の探索とリスク要因の解明
Project/Area Number |
16K19723
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
河野 邦江 島根大学, 医学部, 特別協力研究員 (20432619)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 下肢静脈瘤 |
Outline of Annual Research Achievements |
下肢静脈瘤は,様々な下肢の自覚症状の原因となり得,患者のQuality of life を下げて本邦の労働生産性を低下させる。高齢者で実に20%の有病率を示し,肥満や立ち仕事等の生活環境要因が発症に関与する。一方で,遺伝要因(家族歴)は下肢静脈瘤のリスク全体のうち約10%を説明する。その寄与は,原因遺伝子が解明されている静脈血栓塞栓症より強いが,下肢静脈瘤の発症に関わる具体的な遺伝子は未知である。本研究は,下肢静脈瘤の原因遺伝子を探索的に解明することを目的とする。さらに,島根県の疫学調査基盤(Shimane CoHREStudy)を活用して,下肢静脈瘤のリスク要因を包括的に解明することを目的とした。 2016年度は新たに約350名に対して下肢静脈瘤に関連する検査を行った。2012-2016年度までに収集したデータは総計で1000名を超え、疫学的解析に供するデータ収集は一段落した。臨床サンプルについては、2016年11月に島根大学医の倫理委員会にて審査を経た後に受理された。臨床サンプルのデータ収集は現在までに約30例を収集した。 さらにスウェーデンのLund大学の共同研究者らと共に、下肢静脈瘤の要因に関する共同研究の推進を行い、下肢静脈瘤の発症には遺伝要因が強く関連するが、家族内の生活環境要因が重なる事で発症リスクが高まる事を解明し、国際誌に論文が掲載された(Kohno et al., JACS 2016, IF:4.3)。2017年度も引き続き、Lund大学の共同研究者らと共に研究推進に向けて共同研究を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
疫学調査では2016年度に新たに約350名より血液を採取し、DNAを抽出した。また、生活環境に関するアンケート調査も同時に行い、データベースを構築した。 臨床研究では、新たに島根大学医学部医の倫理委員会を経て、臨床検体および生活環境に関するデータを収集した。 スウェーデンLund大学との共同研究により、下肢静脈瘤の発症には遺伝要因が強く影響する事を確認し、さらに生活環境要因が重なる事で発症リスクが高まる事を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床サンプルの収集を継続して行い、検体を集めた後に遺伝子解析を行う。 収集し得た検体より抽出したDNA溶液をもとに、下肢静脈瘤に関連する遺伝子検索を行う。 2012年度から収集した下肢静脈瘤に関する疫学データについて、これまでに構築したデータベースをもとに疫学的な解析を行い、下肢静脈瘤に寄与する要因の検索を行う。 2017年度は、スウェーデンLund大学の共同研究者らと共にさらに下肢静脈瘤の要因検索を行うととも他の疾患との関わりを明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
遺伝要因の検索のための試薬費用は、2017年度に購入する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費:遺伝要因の検索に用いる試薬費用として用いる。旅費:2017年6月に共同研究者らの研究施設を訪問し、研究打ち合わせ会を行うための旅費として用いる。人件費・謝金:データベースの構築に当たり研究補助業務が発生した場合に用いる。その他:英文校正などに用いる
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