2018 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding the development of voricose veins
Project/Area Number |
16K19723
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
河野 邦江 島根大学, 医学部, 特別協力研究員 (20432619)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 下肢静脈瘤 / Shimane CoHRE Study / 疫学調査 / 生活習慣 / 遺伝要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
下肢静脈瘤は、下肢の表在静脈の拡張や弁不全によって静脈が拡張、屈曲蛇行したものである。一度生じると不可逆的であり、発症当初に症状がない場合でも徐々に進行して、下肢のむくみや重圧感、血管痛、かゆみ、こむら返りなどの下肢諸症状を生じる。下肢静脈瘤の疫学は、本邦における文献的情報に限りがあり、大規模な調査報告は皆無である。下肢静脈瘤は加齢とともに有病率が高まり、不快な症状を伴う事から、単独の疾患のみならず変形性膝関節炎などの整形外科疾患と重なることでさらに自覚症状が悪化する。超高齢化社会を迎えて健康寿命の延伸を政策目標に掲げる我が国において、高齢者における有病率が高い下肢静脈瘤の実態把握を行うことは極め重要である。 こうした中で、本研究では、高齢化の進む島根県中山間地域で地域住民を対象とした持続的疫学調査基盤Shimane CoHRE Studyの一環として、下肢静脈瘤の実態把握と要因研究を行うことを試みた。 下肢静脈瘤の疫学調査の実施にあたっては、静脈血の逆流を厳密に測定して診断することが可能なエコー検査を用いた。年齢、性別、既往歴、居住地などの基礎的項目と併せて下肢自覚症状や生活習慣、SF-8を用いた健康関連QOL調査を行い、下肢静脈瘤の罹患との関連を解析した。 成果として、立ち仕事の中でも立位で動きの少ない立ち仕事が静脈瘤の罹患と関連することや、立ち仕事と肥満が重なることで下肢静脈瘤のリスクが高まることを解明した。また、生活習慣のうち、喫煙やアルコール摂取なども影響することが明らかとなり、臨床的な情報を加味して考えると、再発予防には患者への適切な生活指導が重要であることが示された。今後はさらに、社会疫学的観点から下肢静脈瘤の予防法について考案したい。
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