2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K19740
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
木曽 真弘 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 医師 (20769517)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 毛乳頭細胞 / 不死化 / TERT遺伝子 / Bmi1遺伝子 / 毛包再構築実験 / 毛包誘導能 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス培養毛乳頭細胞移植に安定した細胞数を獲得するため、不死化毛乳頭細胞を樹立した。細胞を不死化させる方法としては、テロメア逆転写タンパク質(TERT)が挙げられる。外因的にTERTを発現させると、細胞は 複製老化が回避できるよう十分なテロメア鎖長を維持し細胞を不死化させるため、培養毛乳頭細胞にTERT遺伝子組みこむ。更にTERT遺伝とともにBmi1遺伝子を導入することで、より効率的に細胞を不死化出来ることが報告されており(Kei Haga et al; Cancer Sci 2007)本研究ではレンチウイルスベクターを用いてTERT遺伝子とBmi1遺伝子を遺伝子導入した。また、不死化した細胞をChamber法という毛包再構築実験を行い、再生した毛包の質の評価を行うことで、より現実的な移植方法を確立することが出来た。更には、樹立した不死化毛乳頭細胞、遺伝子導入していない毛乳頭細胞、直接単離した毛乳頭細胞の遺伝子プロファイリングを行い、毛包誘導能に関連する新たな遺伝子の候補を検索したところ、早期培養毛乳頭細胞と不死化毛乳頭細胞の毛包関連、もしくは、毛包誘導能に関連する遺伝子が保持されることが分かった。(上記の内容は論文執筆中である)また、同様の実験をヒトの毛乳頭細胞でも遂行しており、当院での倫理委員会申請準備、承認を得た上で患者から採取した毛乳頭細胞を培地にウシ胎児血清ではなく、ヒト由来の多血小板血漿を使用し、初代培養させることに成功し、マウス毛乳頭細胞とレンチウイルスベクターを使って、TERT遺伝子とBmi1遺伝子を遺伝子導入する段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野生型 B6マウスもしくは、GFP遺伝子をノックインした B6マウスの頬髭から二系統の毛包を採取。毛乳頭細胞を用手的に実体顕微鏡下で単離し、培養する。その際、単離したものが毛乳頭細胞であるか確認するため、ALPの免疫染色を行い単離した細胞が毛乳頭細胞であることを確認した。また、薬剤耐性遺伝子、TERT遺伝子、Bmi1遺伝子を組み込んだ、レンチウイルスベクターを用いて毛乳頭細胞に遺伝子導入し、不死化毛乳頭細胞の樹立を行った。TERT遺伝子、Bmi1遺伝子が組み込まれているかをRT-PCRで確認し、マウス毛乳頭細胞のTERT遺伝子、Bmi1遺伝子を確認した。また、遺伝子導入された細胞においてもALPの免疫染色を行ったところ、不死化毛乳頭細胞は活性が保たれていることを確認した。 樹立した不死化毛乳頭細胞を代表的な毛包再構築実験である、Chamber法により移植実験を行い。再生した毛包を組織学的に評価した。 樹立した不死化毛乳頭細胞を培養したものと、週齢17.5~18.5日目の胎児のマウス採取した表皮を混合し、ヌードマウスに移植する。移植した細胞は毛包が発生し、毛包は長期観察(約1年間)することが出来た。また、組織学的評価を行う際にGFPマウス由来の毛乳頭細胞を移植することで、再生した毛包の毛乳頭細胞が移植した細胞であるかどうか確認も出来た。また、遺伝子導入した毛乳頭細胞、培養毛乳頭細胞をmicro arrayによって遺伝子解析を行い。遺伝子のプロファイリングを行った。結果としては、早期培養毛乳頭細胞と不死化毛乳頭細胞の毛包関連遺伝子、直接単離した毛乳頭細胞と培養毛乳頭細胞の遺伝子プロファイリングが劇的な変化を示していたが、早期毛乳頭細胞と不死化した毛乳頭細胞は毛包関連遺伝子、もしくは、毛包誘導能に関連する遺伝子が保たれていることも確認出来た。上記の内容に関して、現在論文執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はマウスで行った実験をヒトの毛乳頭細胞を用いて行い。同様の結果が得られるか どうかを評価することを目標としている。平成28年度の当院での倫理委員会審査を経て、患者から採取したヒト毛乳頭細胞の培地に多血小板血漿を使用し、初代培養を確立した。今後はマウスと同様にレンチウイルスベクターを用いて、TERT遺伝子、Bmi1遺伝子を導入し不死化毛乳頭細胞の樹立を行う。樹立した細胞はマウス同様にヌードマウスを用いて毛包再構築実験を行い、毛包再生するか確認する。また、組織学的な検討にて、毛乳頭細胞のマーカーである、ALP、Versicanなどのヒト特異的抗体を使い組織免疫染色を行うことで移植した細胞であることを確認することを予定している。
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