2017 Fiscal Year Research-status Report
22q11.2欠失細胞から捉える統合失調症の病態解明
Project/Area Number |
16K19760
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
有岡 祐子 名古屋大学, 医学部附属病院, 特任助教 (10709497)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 統合失調症 / iPS細胞 / 22q11.2欠失 |
Outline of Annual Research Achievements |
統合失調症の発症メカニズムとして、発症リスクゲノム変異が引き起こす複雑な分子ネットワーク異常が予想される。しかし、リスクゲノム変異は多様で、未だ統一的な発症メカニズムは明らかにされていない。この状況を打破するため本研究では、均一なゲノム変異の下で統合失調症の分子病態を解明し、統合失調症の診断法開発への応用を目指す。特に統合失調症の最も高い発症リスクゲノム変異である22q11.2欠失を標的とし、22q11.2欠失患者由来のリンパ芽球様細胞やiPS細胞といった様々なバイオリソースを用いる。 平成29年度では、健常者3名、22q11.2欠失患者2名由来のiPS細胞を用いた解析に着手した。22q11.2欠失iPS細胞は健常者由来iPS細胞と比べてコロニー形成スピードが遅いという表現型が観察された。細胞増殖によるものか、もしくは細胞死によるものなのかを明らかにするため、細胞周期マーカー(PH3)とアポトーシスマーカー(Caspase3)抗体にて免疫染色を実施したところ、健常者iPS細胞と22q11.2欠失iPS細胞でPH3陽性細胞率に差はなかったが、22q11.2欠失iPS細胞でCaspase3陽性細胞率が有意に高かった。つまり、22q11.2欠失iPS細胞におけるコロニー形成の遅延はアポトーシス亢進によるものだと考えられた。 次に、健常者由来および22q11.2欠失患者iPS細胞をそれぞれ神経細胞へと誘導させたところ、22q11.2欠失患者群ではneuriteの長さが短いことが明らかとなり、既報と一致する結果であった。現在、さらなる解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
22q11.2欠失神経細胞の解析に着手しており、順調だと判断する
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Strategy for Future Research Activity |
ライブイメージングを取り入れた解析も実施し、22q11.2欠失患者由来神経細胞の表現型を同定する。
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Causes of Carryover |
iPS細胞を樹立する22q11.2欠失患者を平成29年度までに3例としていたが、現在2例のため、次年度使用額が生じた。ライブイメージング解析の費用に使用予定である。
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