2016 Fiscal Year Research-status Report
One-carbon metabolismに着目した統合失調症病態解析研究
Project/Area Number |
16K19768
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
木下 誠 徳島大学, 病院, 特任助教 (40622478)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 統合失調症 / ピリドキサール / ホモシステイン / 葉酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではホモシステインに加えて、one-carbon metabolism に関わるビタミンB6、B12、葉酸、ベタインに注目し、one-carbon metabolism 関わる代謝物質ならびに関連遺伝子多型を統合的に解析して、新しい統合失調症の病態を明らかにすることを目的とした。また、ビタミンB6はカルボニルストレスと呼ばれる、統合失調症の病態に関わると報告されている経路にも関与している。 まず、ヨーロッパの大規模GWASで、健常者の血漿ピリドキサール濃度に影響を与えると報告されたrs4654748について、徳島大学で収集したサンプル (健常者911名、統合失調症患者365名)を用いて、血漿ピリドキサール濃度との関連解析を行った。線形回帰分析を行い、統合失調症患者は健常者に対して有意に血漿ピリドキサール濃度が上昇していることを示した。rs4654748遺伝子型と性別にわけたANCOVAも行い、全てのカテゴリーにおいて、統合失調症患者では有意に血漿ピリドキサール濃度が上昇していることを示した。rs4654748遺伝子多型と統合失調症リスクとの関連を、χ二乗検定を行い評価したが、有意な関連は認めなかった。 血漿葉酸濃度については、同じくヨーロッパの大規模GWASで、健常者の血漿葉酸濃度に影響を与えると報告されたrs1999594について、徳島大学で収集したサンプルを用いて関連解析を行った。線形回帰分析を行い、統合失調症患者は健常者に対して有意に血漿葉酸濃度が上昇していることを示した。rs1999594遺伝子型にわけたANCOVAも行い、全てのカテゴリーにおいて、統合失調症患者では有意に血漿葉酸濃度が上昇していることを示した。既報論文を含めたメタ解析を行い、統合失調症では、健常者に比べて有意に血漿葉酸濃度が上昇していることも明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ベタインに注目し、サンプル収集を行う予定であった。そのうちビタミンB6と葉酸についてはサンプル収集を完了し、解析もほぼ完了している。ビタミンB6と葉酸については論文執筆中である。よって、進行状況はおおむね順調に進展していると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
ビタミンB6と葉酸に関する研究結果の論文化を進めていく予定である。また、研究結果については、論文化の前に国内国外の学会で随時報告していく予定である。
|
Causes of Carryover |
想定していた物品費用、旅費が想定ほどはかからなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続きサンプルの収集を行う。国内、国際学会への参加のための旅費や、論文化のための資金に使用したいと考えている。
|