2016 Fiscal Year Research-status Report
末梢白血球中の遺伝子発現を用いた精神疾患の診断マーカーの開発
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16K19769
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
渡部 真也 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 助教 (90563825)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 診断マーカー / 遺伝子発現 / PCRarray / 双極性障害 / 統合失調症 |
Outline of Annual Research Achievements |
精神疾患の診断は症候学に基づいて行われているが、初診時に正確に診断することが難しい症例も多く、精神疾患の生物学的な診断補助マーカーは早期診断・適切な治療薬選択に有用であり、その開発が望まれている。近年、我々の教室では、複数の遺伝子発現パターンを組み合わせたうつ病の生物学的指標の開発に取り組み、うつ病患者群と健常対照者群の弁別において良好な結果を得て、同定したうつ病の生物学的指標のうつ病の診断補助マーカーとしての可能性を明らかにした。本研究ではこれまでの研究をさらに発展させ、双極性障害患者と統合失調症患者も対象にして、末梢血白血球の遺伝子発現パターンを利用した精神疾患の診断補助マーカーを作成・確立する。 具体的にはこれまでに我々が作成したうつ病のマーカーと同様の手法を用い、約40の候補遺伝子を選定の上、双極性障害、統合失調症患者の末梢血白血球中のこれらの遺伝子発現をPCRarrayを用いて網羅的に測定する。有意な変化がみられたいくつかの遺伝子発現を組み合わせて反物分析の手法を用い判別スコアを算出する。このスコアが双極性障害、統合失調症それぞれの疾患患者を健常対象者からどの程度の精度を持って弁別しうるものであるかを検証する。 本研究により精神疾患の客観的診断マーカーが確立されれば、これら疾患について早期に適切な診断・治療がなされる大きな助けとなり、精神疾患の予後改善に大きく寄与すると考えられるという点で大いに意義深いと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまですでに双極性障害患者、健常対象者のサンプルを用い候補遺伝子群の発現を解析し、有意な変化のあった5遺伝子を選定した。この5遺伝子の発現を用い判別スコアを算出し、双極性障害と健常対象者を弁別するマーカーセットの作成し弁別能に関する評価も完了しているため、おおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
双極性障害の診断マーカーについては結果を論文化し投稿する予定である。 再現実験については使用できるサンプルが少ないこともあり、今後サンプル数が増えれば実施を検討する。 双極性障害のマーカーについてうつ病のマーカーほど弁別能が良好ではなかったため、統合失調症について同様の手法でマーカー作成を実施するかどうかについては再検討する。
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Causes of Carryover |
予定していた国際学会での成果発表が日程の都合等で困難になったため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主として学会発表などの成果公表における経費として使用する予定である。
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