2017 Fiscal Year Research-status Report
胎仔におけるVPA副作用軽減のための服薬方法の開発
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16K19783
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
金城 智也 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (80750364)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | バルプロ酸 / BrdU / 神経細胞新生 / acetylation / Y-maze / Open-field / Elevated plus maze (EPM) / HDACi |
Outline of Annual Research Achievements |
バルプロ酸ナトリウム(VPA)は、抗てんかん薬として治療に頻用されているが、妊娠中の服薬において二分脊椎など催奇形性の副作用が指摘されている。しかし、妊娠中VPAの服薬を中断は、てんかん発作の再発を誘発し、中断は容易ではない。本研究では、ratにVPA投与し、行動解析、神経病理解析、エピジェネティクス解析を行った。臨床に近い条件にするため、連日投与とした。Wister ratにおいて、催奇形性限界とされる妊娠12.5日~出産まで、VPA(100 mg/kgまたは200 mg/kg)を腹腔内に連日投与した。生まれてきた仔(4週齢)に対して細胞新生のマーカーであるBrdU投与を行った後、行動実験と海馬歯状回における神経細胞新生の測定を行い、さらに、Histon H3-K56 acetylationに対する抗体を用いて免疫蛍光組織染色を行うことによってヒストンテールのアセチル化を調べた。行動試験はY-maze、Open Field test、Elevated plus maze (EPM)を行った。 実験の結果、行動と神経細胞新生、アセチル化の関係については、注意力が欠如し活動性が高い(いわゆるADHDの傾向がある)ほど、BrdU陽性細胞数は、有意に増加し、ヒストンのアセチル化は減少した。外表奇形については、VPA200mg/kg投与群のほとんどの仔において、尻尾の先端に多少の奇形が観察された。 本研究では、連日投与においてVPA濃度の増加に伴い、海馬歯状回における神経細胞新生が増加する一方、ヒストンのアセチル化は減少し、多動となる傾向が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数々の予備実験を経て、応用可能な研究基盤を確立させるさせることができ、その後の実験が順調に進んだため。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、バルプロ酸を投与したラットから生まれた生後4週齢の仔において、ヒストンテールのH3-K56のアセチル化に負の影響を及ぼしていることが明らかになったことから、内在性のHDACが過剰に働いている可能性が考えられる。今後の展開としてはバルプロ酸を投与したラットから生まれた仔の脳や血液からRNAを抽出し、HDAC遺伝子発現を調べる。さらにヒストンテールの他のアセチル化部位に影響はないか検証していく。
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Causes of Carryover |
研究結果に応じて購入する試薬等が変わるため、そのための予算を確保する必要があった。 使用計画に関しては、ヒストンアセチル化に対する抗体の購入や場合によってはウエスタンブロットを行うための装置一式を購入する予定。
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