2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K19791
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
松田 真悟 昭和薬科大学, 薬学部, 特任助教 (80723246)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 恐怖消去 / 神経回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の初年度は、恐怖記憶の再燃予防に関わる脳領域候補を絞り込むことを目的に実施した。 研究1として、雄マウスを対象に、恐怖記憶の再燃を予防できない消去トレーニング日数(FE2)と予防できる消去トレーニング日数(FE5)を利用して、恐怖消去トレーニング日数の増加に伴う脳内活動の変動を調べた。その結果、恐怖消去トレーニング日数の増加に伴って下辺縁皮質(IL)、背側海馬(dCA3)および視床室傍核(PVT)の活動が高まることが分かった。研究2として、雄マウスで恐怖記憶の再燃を予防できるが雌マウスでは再燃を予防できない恐怖消去トレーニング日数(FE5) を利用して、恐怖消去トレーニング効果の性差に関わる脳領域を調べた。その結果、性差のある脳領域として背側海馬(dCA3)、視床室傍核(PVT)および扁桃体基底外側核前部(BLAa)を見出した。また、FE5の雄特異的に活動した脳領域として扁桃体基底外側核後部(BLAp)を得た。さらに、これらの結果を比較し、恐怖記憶の再燃予防関連脳領域候補としてdCA3、PVTおよびBLApを得た。 先行研究は恐怖記憶が再燃する条件下での恐怖消去関連領域について報告している。これに対し、本研究は恐怖記憶の再燃が生じる条件から再燃が生じない条件へと移行した際の恐怖消去関連領域を見出すことに成功した。この成果は、恐怖記憶の再燃予防に関わる脳内活動の変動へと繋がるものであり、客観的な治療評価マーカーを欠いた精神科領域において重要な成果となりうる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究1として、雄マウスを対象に恐怖記憶の再燃を予防できる消去トレーニング日数(FE5)と予防できない消去トレーニング日数(FE2)を利用して、恐怖消去トレーニング日数の増加に伴う脳内活動の変動を明らかにした。さらに、研究2として、恐怖消去トレーニング中の雌雄マウスの脳内活動の比較から、恐怖消去トレーニング効果の性差に関わる脳領域も明らかにした。 そして、恐怖消去トレーニング日数の増加に伴って変動した脳領域と恐怖消去トレーニング効果の性差に関わる脳領域を比較し、恐怖記憶の再燃予防関連脳領域候補を得るのに成功した。 これらの研究は研究実施計画に記載した内容と一致する。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度の研究から得られた恐怖記憶の再燃予防関連脳領域候補を薬理学的手法を用いて破壊し、その領域の恐怖消去に対する役割を明らかにする。さらに、恐怖記憶の再燃予防関連脳領域候補に順行性および逆行性トレーサーを投与し、恐怖記憶の再燃予防関連脳領域候補の神経回路網を調べる。
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Causes of Carryover |
為替の影響を受け、年度末に購入した洋書の価格が予定価格と変わったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
差額が26円と少額なため、助成金の使用計画に大きな変更はない。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] 恐怖消去抵抗性の分子機構解明に向けた基盤的研究2017
Author(s)
松田真悟, 遠山卓, 村上由, 古屋裕理, 松澤大輔, 石井大典, 富澤はるな, 須藤文和,一戸紀孝, 清水栄司, 水谷顕洋
Organizer
第10回ハイテクリサーチセンター報告会
Place of Presentation
昭和薬科大学 (東京都町田市)
Year and Date
2017-04-01 – 2017-04-01
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