2016 Fiscal Year Research-status Report
保護要因に焦点を当てた暴力リスク・アセスメント・ツールSAPROFの有用性の検証
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16K19793
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
柏木 宏子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 病院, 医員 (90599705)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 保護要因 / SAPROF / 暴力 / リスク要因 / ストレングス / 医療観察法 / HCR20 |
Outline of Annual Research Achievements |
SAPROFは、暴力リスクの保護要因を評価する17項目の評価尺度である。オランダで開発され、2013年に申請者らによって日本語版が公開された。保護要因とは将来の暴力のリスクを低減させる要因であり、本人の強みや環境に焦点が当てられている。人生の目標や仕事、余暇活動、治療への動機付け、生活環境などが含まれる。リスクに焦点を当てた評価尺度と組み合わせて使用することで、よりバランスのとれた正確な予測が可能となる。また、暴力を低減させることを目指した治療へのガイドラインを提供することにつながり、当事者と支援者の両者のモチベーションの向上にも寄与することが期待されている。これらのことから、将来の暴力を予測する評価尺度にSAPROFを追加することは、究極的には、より早くそして質の高い社会復帰を促進することにつながりうる。本研究の目的の一つは、このSAPROFの評価者間信頼性、つまり、評価者が違っても評価にぶれが生じないかと、暴力の予測妥当性、つまり、将来の暴力の有無をどの程度予測できるか、を検証することで、SAPROFの実用化や研究の発展に寄与することである。国立精神・神経医療研究センター病院の医療観察法病棟をすでに退院した症例のSAPROFを評点し、それぞれの項目の入院中の暴力に対する予測妥当性を解析する。リスクに焦点を当てたツールであり、日本語版の予測妥当性が検証されている、HCR20を比較に用いて、HCR20単独、SAPROF単独、HCR20とSAPROFの併用とで予測妥当性を比較する調査を進めている。また、平成29年度から開始される、多施設共同での前向き調査でのSAPROFの予測妥当性の検証には、全国12施設(医療観察法病棟)が参加することが決定している。その施設のなかで、SAPROFワークショップの参加経験のないスタッフ向けに、SAPROFワークショップを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国立精神・神経医療研究センター病院医療観察法病棟をすでに退院した方を対象とし、SAPROFの予測妥当性を検証する後方視的コホート研究においては、2016年6月に倫理委員会にて承認後から、現在2017年5月1日までの間に、約140例に対して、SAPROFを評点した。SAPROFの予測妥当性とともに、HCR20との比較において、それぞれ単独で評価した場合と、併用して評価した場合のそれぞれの暴力の予測妥当性を調査する。HCR20version2が既存情報としてあるものについては、それらとSAPROFとの比較については2017年5月ないし6月に解析予定であり、90~100例となる見込みである。また、最終的にはすでに退院した全例(入院期間が1年以上のもの)に対して、HCR20version3とSAPROFを評価する予定である。SAPROFの実用化と研究の発展のためには、十分な症例数が集まった段階で、信頼性と妥当性の研究成果について、迅速に論文発表する予定である。また、多施設共同前方視的コホート研究においては、12施設が研究に参加することになり、2017年秋から参加予定の1施設を除く全施設で倫理委員会で承認された。2017年4-5月に評価を一斉スタートさせている。
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Strategy for Future Research Activity |
後方視的コホート研究では、SAPROFとHCRversion3を主に評点しているが、STARTを評点する余裕がないことと、STARTの日本語版について、まだ予測妥当性が報告されていないことから、日本語版の予測妥当性が検証されており、かつ既存情報としてあるHCR20version2を代わりに解析に用いる。 多施設共同前方視的コホート研究については、各施設の入院対象者数が当初期待されていたよりは少なく、対象者数が不足する見込みであり、対象者の適応基準について、入院後半年以内から、入院後1年以内に変更することや、研究対象者の組み入れ期間を延長することなどを検討している。 SAPROFの臨床的意義を検証する、SAPROFを当事者と協同て評点することの効果について調査する研究については、倫理委員会に申請予定である。
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Causes of Carryover |
評価者トレーニングのための旅費が多くなり、統計解析ソフトSPSSの代金まで平成28年度の収入で賄うことができず、SPSSは次年度に購入する方針となった。
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