2016 Fiscal Year Research-status Report
難治性うつ病の分子基盤としてアストロサイト由来GDNFに着目した研究
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16K19796
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Kure Medical Center |
Principal Investigator |
梶谷 直人 独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部), その他部局等, 研究員(移行) (60755742)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | GDNF / アストロサイト / 抗うつ薬 / うつ病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、脳アストロサイトにおけるグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)の産生が障害されることがうつ病の重症化しいては難治化の分子基盤の一つを担っていると仮説を立て、その作業仮説を検証するために、薬理学的・遺伝子工学的手法により検証すること、さらには、得られた成果の有用性をうつ病患者サンプルを用いて検証することを目的とする。本年度は以下の成果を得た。 ・培養アストロサイトにおいて、抗うつ薬により誘導されるGDNF産生作用にLPA(リゾフォスファチジン酸)1受容体が活性化されることが重要であることを示した(Kajitani et al. J Biol Chem. 2016)。 ・動物を用いて抗うつ薬難治化モデルとして評価するために、強制水泳試験・novelty suppressed feeding試験・open field試験等の行動実験系を立ち上げ、抗うつ薬(amitriptyline)急性投与並びに長期投与で抗うつ薬による行動変化が起きる実験系であることを確認した。 ・アストロサイトにおけるLPA1受容体の活性化におけるGDNF産生作用の障害が、抗うつ薬の治療抵抗性に関与している可能性を検証するため、LPA1ヘテロノックアウトマウスを購入した。現在、LPA1ヘテロノックアウトマウス及びLPA1ホモノックアウトマウスの繁殖を行っている。 ・うつ病患者サンプルの収集に関しては、研究協力者の協力のもと、抗うつ薬等の薬物治療抵抗性であり電気けいれん療法適応患者の末梢血及び脳脊髄液に関して、概ね目標数収集することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アストロサイトを介した抗うつ薬の治療効果に重要な受容体として、LPA1受容体を同定することができ、その成果は国際学術誌に受理された。 難治性うつ病の分子基盤の一つとして、アストロサイトLPA1受容体シグナル経路をターゲットとして挙げることができ、今後研究が大きく進展する期待があるため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在繁殖しているLPA1ノックアウトマウスを用いて、通常マウスと比較し、うつ病様行動を示すか否か行動実験により検討し、合わせて、脳内または血清中のGDNFの発現に変化がないか検討する。また、通常マウスと比較し、抗うつ薬による行動変化に与える影響について検討し、LPA1受容体が抗うつ薬治療抵抗性の分子基盤を担うか否か検討する。
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Causes of Carryover |
当該年度は計画していたよりも少ない予算で進行できたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に必要な物品の購入費にあてる。
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Research Products
(5 results)