2016 Fiscal Year Research-status Report
不安定プラークの早期診断を可能とする蛍光・PETデュアルイメージング薬剤の開発
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16K19805
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
山口 藍子 群馬大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座等教員 (80609032)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 不安定プラーク / 蛍光 / PET |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではマクロファージを標的として、ポジトロン放出核種である18Fと蛍光色素の両方で標識したイメージング薬剤「DCM20」を開発し、不安定プラーク検出薬剤としての有用性を評価することである。 本年度は、まずDCM20を酸性pH下においてのみ蛍光を発する蛍光色素であるAcid Fluor Orange (AFO) で標識したAFO-DCM20を作製し、基礎的検討を行った。作製したAFO-DCM20の蛍光強度はpH 依存的に増強し、pH5.0条件下ではpH7.4の場合に比べ約8倍となった。続いて、マウス腹腔マクロファージを用いて取り込み実験を行ったところ、取り込まれた薬剤のみが蛍光シグナルを示し、その局在はリソソームの分布と一致した。さらに、動脈硬化モデルとして知られているApoE KOマウスにAFO-DCM20を尾静脈より投与し、投与2時間後に動脈硬化病変の組織内分布を調べたところ、AFO-DCM20はApoE KOマウス大動脈に高集積を示し、その集積はマクロファージ陽性領域と相関することを認めた。以上のことから、AFO-DCM20は不安定プラーク診断薬剤として有用である可能性が示された。 また、18F標識に先立ちDCM20の骨格に修飾を加えることなく標識が可能なSPECT核種である99mTcを用いてDCM20を標識し、ApoE KOマウスにおける体内動態を調べたところ、投与二時間後における99mTc-DCM20の大動脈集積は血液よりも低いことが明らかとなった。非常に小さな動脈硬化病変部位を検出するためには、高い対血液比が求められることから、撮像時間を遅くするなど、改善が必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた18F標識体の作製には至っていないが、蛍光標識体および99mTc標識体を用いた予備検討を行うことで、動脈硬化モデルマウスを用いた動物実験を実施できた。それにより、薬剤設計の体内動態における問題点が明らかとなった。今後は血液クリアランスを改善した化合物を作製し、その不安定プラークイメージング薬剤としての有用性評価を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
18Fの半減期は約2時間と短く、体内動態の遅い化合物を標識する核種として適切ではないことから、薬剤設計を再検討し、① 18F-DCM20が標的部位に集積した後に、血液中に残存したRIを選択的に除去する手法を応用する、②18Fよりも半減期の長いポジトロン核種を用いる、といった方策を講じることで、不安定プラークの描出が可能な蛍光・PETデュアルイメージング薬剤の作製を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
コンビニエバポの購入額を計上していたが、他予算での購入が可能となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たな化合物の合成が必要となったため、合成試薬用の消耗品費として使用する。また、新たな化合物についてRI標識実験と、ノーマルマウスを用いた評価も必要となるため、標識実験用の消耗品や動物の購入費として使用する。
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