2016 Fiscal Year Research-status Report
アミノレブリン酸を用いたがん治療の個別化を可能にするPET画像法の開発研究
Project/Area Number |
16K19815
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 千恵 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 助教 (20637285)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | PET / アミノレブリン酸 / F-18 |
Outline of Annual Research Achievements |
アミノレブリン酸投与時の腫瘍におけるプロトポルフィリンIX蓄積量を評価するフッ素-18標識PETプローブの開発を目指し、PETプローブ候補化合物 (F-LA) の非放射性標品、標識前駆体の合成、およびフッ素-18標識条件の検討を試みた。 市販のレブリン酸を出発原料に用い、メタノール溶媒中、臭素と反応させることで、ブロモ基を導入した。ブロモ体は、減圧蒸留による分離精製は困難で、加熱により分解物が認められたが、ヘキサン-酢酸エチルを溶離液に用いたカラムクロマトグラフィーにより、無色透明液体として純度よく得た。続いて、ギ酸ナトリウムにより、ブロモ基を水酸基に変換し、次いで、p-トルエンスルホン酸クロリドとの反応により、水酸基をトシル基へと変換した。別途、ブロモ体をクリプトフィックス2,2,2存在下、フッ化カリウムと反応させ5-フッ化体を得た。 ブロモ体もしくはトシル体をクリプトフィックス2,2,2存在下、[F-18]フッ化物アニオンと80℃で10分間反応させ、HPLCで分析したところ、上述の非放射性フッ化体と同じ保持時間に放射活性が溶出したことから、目的とする5-[F-18]フッ化体の生成を確認した。ブロモ体およびトシル体を標識前駆体に用いた場合の放射化学的変換率は、それぞれ100%および6%であり、ブロモ体を標識前駆体に用いた臭素-フッ素交換反応により高収率に反応が進行することが示された。今後、脱保護条件および分離条件の検討を行い、PETプローブ標識合成条件の確立を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実施計画において、当該年度には、合成した非放射性PETプローブ候補化合物を用いてin vitroにおける化合物の性質を評価する予定であった。In vitroにおける評価には、高純度の化合物が必要となるが、合成中間体および最終生成物の精製が困難であり、予定から遅れている。しかし、当該年度の研究より、合成反応および精製条件が確立しつつあることから、次年度に量上げ合成を行い、ただちにin vitroにおける評価を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで同様に、非放射性標品の合成および、PETプローブ標識合成条件の確立を目指す。引き続き、非放射性標品を用いたin vitroにおける細胞輸送などの評価およびF-18標識体のPETプローブとしての可能性を、in vitroおよびin vivoにおいて評価する。
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Causes of Carryover |
研究実施計画において、当該年度には、合成した非放射性PETプローブ候補化合物を用いてin vitroにおける化合物の性質を評価する予定であったため、in vitroにおける評価に用いる細胞、細胞培養機器、ラジオアイソトープなどを予算に計上していた。しかし、合成した化合物の精製が困難であったことから、計画より進行が遅れており、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度に従来の計画であるF-18標識条件の検討とおよびPETプローブとしての評価と並行して、遅れている非放射性化合物を用いたin vitro評価を実施する予定である。
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