2016 Fiscal Year Research-status Report
顔面神経麻痺の治療効果予測におけるMRIの有用性の検討
Project/Area Number |
16K19820
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
久家 圭太 鳥取大学, 医学部附属病院, 医員 (10747637)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 末梢性顔面神経麻痺 / Ramsay-Hunt症候群 / Bell麻痺 / 3D-FLAIR / 3D-CISS |
Outline of Annual Research Achievements |
末梢性顔面神経麻痺の大半を占めるBell麻痺(BP)やRamsay-Hunt症候群(RHS)は、それぞれ予後と治療法が異なり、また、両者とも保存的治療が奏功するが、反応性が乏しい場合は顔面神経減荷術の適応を考慮する必要がある。よって両者の早期鑑別及び予後予測は、適切な治療のために重要である。現在MRIにおいては、3次元撮影技術の進歩により、脳神経や内耳構造といった微細構造をより詳細に描出することが可能となっている。 本研究の目的は、急性期の顔面神経麻痺患者の鑑別診断や、予後診断におけるMRIの有用性を検討し、その結果を治療法の選択に役立てることであり、我々は、末梢性顔面神経麻痺の患者を対象に前向き検討を行った。具体的には、①発症3日以内で未治療の症例を対象とし、②治療開始前にあらかじめ決められたプロトコールで造影MRIを撮像し、撮像後、ガイドラインに基づいた治療を行う。2週間の期間を空けて再度造影MRIを撮像する。③発症10日前後で、NETやENoGといった電気生理学的検査を行う。④BPとRHSの鑑別のためにペア血清抗体検査を行う。⑤顔面神経麻痺の臨床スコアを随時評価、記録する。2016年度までにBPの症例16例、RHSの症例5例が登録されている。 現在までに得られた知見として、造影3D-FLAIR、造影T1WIにおける内耳道壁に沿った造影効果、3D-CISSにおける顔面神経の腫大所見が、予後不良を示唆する所見である可能性が示された。この内容は、第46回日本神経放射線学会にて報告した。また。また、上記所見に加え、3D-FLAIRにおける第8脳神経の造影効果及び、蝸牛、三半規管といった内耳内の高信号の所見が、RHSを示唆する所見であり、BPとの鑑別にもMRIが有用である可能性が示された。この内容は、第76回日本医学放射線学会総会にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
症例は順調に集まっており、現時点での解析結果も概ね期待通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き症例を蓄積し、解析結果を論文発表する。
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Causes of Carryover |
次年度の学会発表に備え、旅費を節約した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費、物品費として使用する。
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