2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K19821
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
谷 千尋 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 助教 (30526926)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 小児CT / X線被曝 / 逐次近似再構成法 |
Outline of Annual Research Achievements |
3歳児程度の体格を模倣したファントム(模擬腫瘤を含む)を作成し、CTの撮影を行った。現状のCT撮影プロトコールである管電圧100kVp、画像ノイズ12(Noise index: NI)の設定から、段階的にNIを上げていき撮影を施行した。次に管電圧を80kVpに下げて、同様の撮影を施行した。これらの撮影から得られたデータに対して、hybrid IRとFull IRの2つの逐次近似画像再構成法を用いて画質評価を行った。Full IRでより画質が改善されると想定していたが、hybrid IRとの差異が想定していた程ではなかった。そこで、現状のプロトコールである管電圧100kVpでの撮影と低電圧撮影である管電圧80kVpでの撮影においてhybrid IRを使用した場合の画質を評価することとした。管電圧100kVpと管電圧80kVpとの撮影を比較して見ると、同じNIでは、管電圧が80kVpの方がcontrast to noise ratio (CNR)が高く、低コントラスト分解能が高いと結果となった。つまり、少ない濃度差まで判別して認識することができるため、容易に異常を認識することができると考えられる。そこで、管電圧100kVpの現状のプロトコールで3歳児程度の体格を模倣したファントム(模擬腫瘤を含む)を撮影し、模擬腫瘤の見え方を評価し、それと同等の画質となるような80kVpでの撮影条件を決定することとした。80kVpでの撮影でhybrid IRを使用した場合、100kVpでの撮影よりもX線量が少ない条件で同等の画質が得られると想定している。現在、その画質評価を行っている状況にあり、現状のプロトコールよりも50%程度被ばくを低減できるのではないかと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
3歳児程度の体格を模倣したファントム(模擬腫瘤を含む)を作成し、CTの撮影を行い、得られた画像に対して、hybrid IRとFull IRの2つの逐次近似画像再構成法を用いて画質評価を行った。当初の想定では、Full IRの使用により画質が大幅に改善されると想定していたが、hybrid IRで得られた画像との差異が想定していた程ではなかった。そのため、被曝低減の方法の1つである低電圧撮影(80kVp)とhybrid IRを併用して、現状のプロトコールでの撮影(管電圧100kVp)より被曝を低減する方向に研究の軌道を修正したため、遅れが生じてしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
管電圧100kVpの現状のプロトコールで3歳児程度の体格を模倣したファントム(模擬腫瘤を含む)の撮影を施行しており、模擬腫瘤の見え方を評価している。それと同等の画質となるような80kVpでの撮影条件を決定することを現在の目的としており、80kVpでの撮影でhybrid IRを使用した場合、100kVpでの撮影よりも線量が少ない条件で同等の画質が得られると想定している。現在、その画質評価を行っている状況にあり、現状のプロトコールよりも50%程度被ばくを低減できるのではないかと考えており、放射線診断専門医による読影実験を施行したのち、最適な撮影条件を決定していく予定としている。その後、ファントム実験で得られた結果を実臨床に応用していきたいとも考えている。
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Causes of Carryover |
Full IRでより画質が改善されると想定していたが、hybrid IRとの差異が想定していた程ではなかったため、現状のプロトコールである管電圧100kVpでの撮影と低電圧撮影である管電圧80kVpでの撮影においてhybrid IRを使用した場合の画質を評価することへと研究の方向性を変更した。そのため、当初の計画よりも研究が遅ている状況にあり、次年度使用額が生じてしまった。使用計画としては、現在までに得られたデータの解析資金、再実験が必要な場合の資金、良好な結果が得られた場合には学会等での発表を行うための資金、さらには論文作成資金に使用できればと考えている。
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