2016 Fiscal Year Research-status Report
少量造影剤でのCT-Angiographyと至適撮影タイミング予測法の確立
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16K19833
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
白坂 崇 九州大学, 大学病院, 診療放射線技師 (00380486)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 至適撮影タイミング予測 / 心拍出量 / 時間濃度曲線 |
Outline of Annual Research Achievements |
基礎実験として,流体ファントムを用いて,心機能(心拍出量,心拍数)と大動脈濃染時間の関係について検証した.心拍出量,心拍数を様々に変化させ造影効果を検証した.テスト注入と本スキャンを想定し,2 種類の造影剤量を投与した.CT 値の計測並びに,得られたCT 値を用いて時間濃度曲線(TDC:time density curve)を作成し,テスト注入のTDCから本スキャンのTDCが想定可能か検証を行った.TDCの形状から,心拍出量が同じであれば,動脈濃染時間は心拍数によらず一定となることが認められた.また心拍出量低下に伴って,動脈濃染時間は遅延する結果であった.テスト注入と本スキャンの2 種類の造影剤投与条件において,最大濃染時間の差を算出すると,心拍出量低下に伴って短縮することが確認できた. 次に、ファントム実験から得られた結果が臨床検査に矛盾がないか検討した.過去に行われた冠動脈CT 画像を解析し,撮影タイミングが適切であったかを調査した.適切なタイミングで撮影が行われた症例は,調査症例数の約60%であり,撮影タイミングが早かった症例、また遅かった症例はそれぞれ全体の20%程度であった。これらの症例においてテスト注入時の画像データの解析を行うと,造影剤到達から最大濃染到達までの時間(arrival to peak time: AP-time)に一定の傾向が見られた。 前述のファントム実験の結果と照らし合わせても矛盾のない結果であった. よってこのAP-timeを用いることで、本スキャン時の最適な撮影タイミングが予測できると考えられた.今後はこの指標を用いて冠動脈CT検査を行い、その予測方法の正確さを証明する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ファントム実験のデータ解析を順調に行えたことで,心拍出量と造影効果の関係について一定の法則が確認できたためである.ファントム実験によって発生するデータ量は非常に膨大であったが,プログラミングによって画像解析に要する時間を大幅に短縮できたことが大きな要因である.ファントム実験による結果をもとに,次年度予定していた臨床検査の後向き解析に直ちに着手することができたことも理由として大きい.
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Strategy for Future Research Activity |
至適スキャンタイミングの予測方法を確立するに至ったため,この指標をもとに冠動脈CT検査を行い,予測方法の正確さを立証する.至適スキャンタイミングでの達成率,大動脈CT値,また.冠動脈の描出効果について,従来行ってきた理論式による撮影タイミング(従来法)と比較を行う.至適スキャンタイミングの予測方法が立証できた後は,造影剤量低減に向けての検討を行う.
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Causes of Carryover |
データ解析用PCの購入をまだ行っていない.研究成果発表の際の渡航費用や,論文化のための英文校正費用として計画的に行っていく必要があるため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
画像データ解析用PC、バックアップ用HDD等の購入.国際学会発表のための渡航費用.英文校正費用.
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