2018 Fiscal Year Research-status Report
透明化脳と拡散MRIによる脳の加齢・変性における検討:病理と画像の3次元的対比
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16K19853
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
佐藤 香菜子 順天堂大学, 医学部, 助教 (80755520)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脳微細構造 / 加齢 / 変性 / 透明脳 / 拡散MRI / 脊髄小脳変性症 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経軸索構造の観察が容易な軸索蛍光発色マウス(Thy1-YFPマウス)の脳について、透明脳化処理と拡散MRIの撮像を行った。得られた拡散MRIデータを用いて、最新の手法であるneurite orientation dispersion and density imaging (NODDI)による解析を行い、神経線維の密度や方向について病理所見と比較した。これまで、この研究により、正常マウス脳の海馬と前交連について神経線維の方向が拡散MRIにより評価可能であることを明らかにし、国際学会とActa Ragiologica Open誌で発表している。 H30年度は、マウス脳における画像と病理変化についてこれまで得られた知見をもとに、すでにあるヒト脳のMRIについて、拡散MRIの解析を進めた。正常加齢と、小脳主体の変性疾患であるSCA6 (spinocerebellar ataxia type 6) 患者のデータを含み、ヒト脳における加齢と変性についての脳内微細構造の解明を達成しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究では、マウス透明化脳と拡散MRIの最新の手法であるNODDIの解析により、正常マウス脳の海馬と前交連について、神経線維の方向が拡散MRIと病理所見とで相関していることを明らかにし、その研究結果を国際学会とActa Ragiologica Open誌に発表した。拡散MRIと病理所見の相関する部位を特定、また拡散MRIで脳微細構造の評価が可能である事を示しており、正常マウス脳では脳内構造を評価するベースラインの一部を確立できたと考える。 H30年度は、正常マウス脳における画像と病理変化についてこれまで得られた知見をもとに、すでにあるヒト脳のMRIについて、拡散MRIの解析を開始した。健常者10名、SCA6患者9名について、DTIに加え,最新の解析手法であるDKI, NODDIについて拡散解析を行い、健常者とSCA6患者間で小脳や脳幹を主体とし拡散示標を比較した。いずれの手法でも,健常者と患者間で拡散示標の一部に有意差が得られており,拡散MRIはヒト脳でも変性を評価する有効な手法であることが示されたと考える。正常マウス脳に加え、ヒト脳の変性による脳内微細構造変化の解明を順調に進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
正常マウス脳における画像と病理変化に加え、ヒト脳の拡散MRI解析を複数の最新の手法で行い、いずれの手法でも,拡散示標の一部に有意差が得られている。拡散MRIはヒト脳でも変性を評価する有効な手法であることが示されたと考える. 加齢と変性による脳内微細構造の変化の解明を進める。 課題としては、マウス脳とヒト脳で用いた解析手法や拡散示標の違いや撮像状態の違いなどによる結果への影響を考慮すべき点が挙げられる。これらについて,文献検索や学会参加などにより情報収集を行い,結果の推考をしていく必要がある。 これらをふまえて現在の解析結果をまとめ、学会発表,論文発表を行っていく。研究結果の発表により、拡散MRIによる脳内微細構造の評価についてのベースラインを確立・共有できると考える。
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Causes of Carryover |
今年度は、日本とフランスの放射線学会による交換留学に参加し,その間は研究を休止していたため,研究費の使用期間の次年度まで延長した。 次年度は,予定していた解析をさらに進め,文献検索や学会参加を通じて結果のまとめを行っていく。次年度は,解析ソフトウェア購入や学会参加,論文発表などに研究費を使用する予定である。
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