2017 Fiscal Year Research-status Report
革新的拡散MRI技術、神経突起イメージングによるパーキンソン病の病態解明
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16K19854
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
鎌形 康司 順天堂大学, 医学部, 助教 (60568153)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 神経突起イメージング / パーキンソン病 / 拡散MRI / 灰白質 / 黒質線条体路 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度、拡散MRIによる神経突起イメージングがパーキンソン病の大脳灰白質変性を従来の灰白質評価の標準的な手法(Voxel based morphometryやSurface based cortical thickness analysis)よりも鋭敏に検出し、パーキンソン病群の灰白質の神経突起密度や神経突起配向を反映する定量値がパーキンソン病の運動症状と良く相関することを示した。さらに拡散MRIによる神経突起イメージングによって検出された変性領域は、剖検脳の病理解析によるLewy病理進展の領域と良く一致していることがわかった。今年度はまずその結果を論文化し、結果の普及に努めた(Kamagata K, et al. Human brain mapping 2017)。 さらに今年度に、拡散MRIによる神経突起イメージングを用いてパーキンソン病の運動症状の主因である黒質線条体神経路変性のin vivo評価を行った。トラクトプロファイル法を利用し、黒質線条体神経路遠位部で特に神経突起密度反映する定量値がパーキンソン病群で有意に低下することを見出し、運動症状や罹病期間と有意に相関することを示した。この結果についても、論文化した(Christina A, Kamagata K, et al. Parkinsonism & Related Disorders 2018)。 これらの研究結果より、パーキンソン病の病理変化の検出に神経突起イメージングは有用であり、パーキンソン病の疾患進行のマーカーとしても有望と考えられる。 来年度は他の大脳白質神経路についても拡散MRIによる神経突起イメージングを用いた評価を行い、大脳白質の変性をどの程度鋭敏に検出できるか検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、パーキンソン病及び健常対照者のMRIデータ収集及び画像データ解析は順調に進行している。また、研究実績の概要にも述べたように拡散MRIによる神経突起イメージングが、パーキンソン病の灰白質変性を鋭敏に検出できること、パーキンソン病の運動症状の主因である黒質線条体路変性を評価可能であることを既に示し、論文化しており、研究の進捗はおおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度も引き続き、パーキンソン病及び健常対照者のMRIデータ収集を進め、MRIデータ解析を並行して行う。研究計画の最終年度である来年度は全脳白質解析を網羅的に行い、実際にパーキンソン病の早期診断に有用なin vivo imaging biomarkerの創出に努める。合わせて疾患重症度や罹病期間との相関解析を行い、疾患進行の客観的なbiomarkerの探索を行う。
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Causes of Carryover |
今年度、拡散MRIによる神経突起イメージングを用いて黒質線条体路の分析を行ったが、パーキンソン病における黒質線条体路の神経突起イメージング定量値の変化が当初予定していたよりも大きく、予定していたより少ない症例数で有意な変化を検出することができた。そのため、解析時間が短縮可能で当初予定していた業務委託を依頼しないこととしたため、未使用額が生じた。 このため次年度に神経突起イメージングによる網羅的な大脳白質評価をすることとし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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