2018 Fiscal Year Research-status Report
がん放射線治療の基礎となるPLDR阻害と修復不能なDNA二重鎖切断の関わり
Project/Area Number |
16K19855
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
関原 和正 横浜市立大学, 医学研究科, 博士研究員 (20761662)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | DNA損傷・修復 / 放射線治療 / クロマチンリモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線で生じる修復不能なDNA二重鎖損傷の測定を切り口として、潜在的致死損傷修復阻害が修復不能なDNA二重鎖損傷産生にどのように影響を与えるか検討し、そのメカニズムを明らかにする。さらにそれを応用した新しいがん放射線治療のアイデアを提案することを目的としている。
初年度では、ヒト正常2倍体線維芽細胞に対して高張処理(0.1M NaCl添加)条件下でX線を照射し、その影響を検証したところ、0.1M NaCl添加条件下でX線を照射し1, 2週間培養すると修復できないDNA二重鎖損傷数が約1.5倍に増加した。さらに0.1M NaCl添加条件下でX線を照射し、照射1時間後から24時間後に残存するDNA二重鎖損傷数を観察したところ、照射直後のDSB数には有意な差が見られなかった。 2年目の平成29年度では、初年度の結果を基に、二重鎖損傷修復に関係するクロマチンリモデリング因子の挙動を解析するとともに、ヒト前立腺がんを用いてヒストン脱メチル化阻害剤の放射線増感効果の検証に取り組み始めた。ヒト前立腺がん細胞株に対し、ヒストン脱メチル化阻害剤を処理すると、濃度依存的に細胞増殖が抑制された。また放射線に対する感受性を増強する可能性が示唆された。 3年目の平成30年度では、ヒストン脱メチル化阻害剤の放射線増感効果の更なる検証を行ったところ、JIB-04が放射線の抗腫瘍効果を高めることが分かった。またDNA修復との関連性も示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度中に異動(所属研究機関の変更)があり、異動の準備のため当該研究課題の遂行に十分な時間を割くことができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒストン脱メチル化阻害剤の放射線増感効果が観察できたので、それによるクロマチンリモデリング因子の挙動とDNA修復分子との相互作用を解析することで、PLDR阻害の分子メカニズムの解明に取り組んでいきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
平成30年度中に異動(所属研究機関の変更)があり、異動の準備のため当該研究課題の遂行に十分な時間を割くことができなかったため、次年度使用額が生じた。次年度、ヒストン脱メチル化阻害剤によるクロマチンリモデリング因子、DNA修復分子の挙動をさらに解析するための試薬等に使用する予定である。
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