2016 Fiscal Year Research-status Report
ホウ素中性子捕捉療法を可能とする新規ホウ素含有シアニン系色素の開発
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16K19858
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
尾江 悟 昭和薬科大学, 薬学部, 助教 (90756107)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ホウ素中性子捕捉療法 / インビボ蛍光イメージング / シアニン系色素 / アルブミン / EPR effect |
Outline of Annual Research Achievements |
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は、がん集積性のホウ素含有薬剤を投与した後、熱中性子線を照射してホウ素と反応させることにより、アルファ線を発生させ、がん組織を破壊する方法であり、新たながん治療法として注目されている。これまでにp-boronophenylalanine(BPA)を用いたBNCTの臨床試験が行われており、また、18FでBPAを放射性標識した化合物(FBPA)がBNCTの適用可否の診断に有効であることが報告されている。しかしFBPAの問題点として、BPAとFBPAの構造が異なることから体内動態が異なる可能性があること、またFBPAは18Fで標識していることから被曝することなどが挙げられている。そこで、本研究では、それらの問題点を改善する新たなBNCT用ホウ素含有薬剤の開発を目的としている。 今年度は、近赤外蛍光領域に励起・蛍光波長を有するがん高集積性シアニン系色素にホウ素含有構造としてBPA誘導体を導入した化合物を設計し、その合成を試みた。その結果、設計したホウ素含有化合物は不安定であり、充分な純度で目的物を得ることが困難であることが明らかとなった。ボロン酸は湿気により分解することが知られていることから、ホウ素含有化合物の安定化が必要であると考えた。そこで、ボロン酸に保護基を導入した化合物を設計し、その合成を行ったところ、充分な純度で目的物を得ることができた。引き続き、合成した化合物についてアルブミン結合親和性評価を行った。その結果、今回合成した化合物はこれまでに開発してきたシアニン系近赤外蛍光色素に比べてアルブミンに対する結合親和性が低下することが認められたが、これまでに開発した化合物と同様にアルブミンワルファリンサイトに結合することが認められた。 平成29年度は、細胞取り込み実験およびモデルマウスを用いた体内動態評価を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初に設計した化合物は、NMRおよび質量分析により合成できていることが確認できた。しかし、HPLCを用いて安定性評価を行ったところ、合成した化合物は不安定であることが認められた。したがって、化合物の安定性を高めるための設計およびその合成を行う必要があった。その結果として、当初計画していた細胞取込評価までは実施できなかった。以上のことから、わずかに遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に合成したホウ素含有薬剤について、当初の計画通り、細胞取込を実施した後、モデルマウスを用いた検討を進めていく予定である。
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