2019 Fiscal Year Research-status Report
3次元の心臓ストレイン解析法の開発と修正大血管転位の予後予測への応用
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16K19860
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
河窪 正照 九州大学, 医学研究院, 助教 (80608985)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Cardiovascular imaging / Cardiac MRI / Myocardial strain / Left ventricular / Right ventricular / Remodeling |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、修正大血管転位における体循環右室に長期的な負荷によって生じるリモデリングとフラクタル解析値との関連を検討し、Radiology: Cardiothoracic Imagingに掲載された。この論文では19名の修正大血管患者を対象に、従来解析技術である心室拡張のフラクタル次元の算出ではなく、ストレイン解析に応用されているfeature-trackingの技術を応用して、1心拍におけるフラクタル次元を算出した。さらには、拡張末期と収縮末期のフラクタル次元の比から算出されるFFD (fractional fractal dimension)が、拡張末期のフラクタル次元よりも、修正大血管転位における体循環右心室のリモデリングの亢進を、精度よく診断できることを示した(拡張期フラクタル次元およびFFDにおけるリモデリング検出率:ROC解析によるAUC 0.68 vs. 0.95)。さらに、FFDが心筋運動指標であるストレイン値と高い相関があることを示すことができた(ピアソンの相関係数r = -0.70)。本研究の結果、修正大血管転位の新たな画像診断指標を創出することができた。また、本解析手法とその画像処理プログラムについては、研究代表者を発明者として、九州大学から特許出願した(特願2019-117483)。 現在は、これまでに開発した3次元のストレイン解析の手法を、近年加速的に医用画像に応用が進んだ人工知能を用いた全自動化に取り組んでいる。また、先に出願した関連特許(特願2018-15131)に対して拒絶理由が示されたが、九州大学の知的財産部門の協力のもと、近日中に応答予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、3次元のストレイン解析法を用いて、修正大血管転位の診断や予後予測の可能性を検討する計画であった。 ストレイン解析を応用した、修正大血管転位の予後と密接に関連するリモデリングの新しい診断指標を提案し、特許出願できたことは順調な成果であったと考える。さらに、計画当初は予定していなかった人工知能を応用した画像解析手法についての研究にも着手することができている。 以上の成果より、本研究は当初の計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で開発した3次元のストレイン解析技術は特許出願済みであり、現在は特許庁の拒絶理由に対する応答を準備中である。応答後は、特許のライセンス化を目指し、積極的に関連企業へアピールし、開発技術の普及の可能性を探る予定である。
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Causes of Carryover |
本研究は2020年3月11日からウィーンで開催される欧州放射線医学会へ参加して終了する予定であった。しかしながら、世界規模のCOVID-19の流行に伴い学会が同年7月に延期され、現在では7月の開催についても不透明な状況である。 支出を予定していたウィーンへの旅費と宿泊費の使途を、急遽検討する必要があったが、余裕をもって適切な使途を検討したく研究期間を1年延長することとした。 現在のところ研究費の使途については、延期された学会の旅費と参加費に充てる計画である。
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