2016 Fiscal Year Research-status Report
ドラッグリポジショニングによる放射線肺障害に対する予防・軽減薬の開発
Project/Area Number |
16K19866
|
Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
吉川 信彦 大阪医科大学, 医学部, 助教 (10719917)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 放射線治療 / 放射線肺障害 / 補中益気湯 / ドラッグリポジショニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度以前より、複数物質の放射線肺障害軽減効果を検討してきたが、軽減効果に加えヒトでの臨床実績があり、副作用が非常に少ないTJ-41(補中益気湯)を第一候補とし、以下の検証実験を行った。 X線照射単独群、X線照射+TJ-41投与群、およびコントロール群に分けて、腹部および頭部を遮蔽し、胸部のみへのX線照射を行った。その後は毎週の体重計測、2週毎のコンピュータ断層撮影(CT撮影)を行った。また照射後4週後、20週後に肺摘出を行い、組織学的変化を観察した。体重は照射+TJ41投与群で照射単独群と比較して、体重増加がより大きい傾向があった。CT撮影では、16週頃より前までは顕著な変化は見られなかったが、その後、肺線維化と思われる斑状の濃度上昇などの変化が認められた。肺摘出標本において、4週時点ではコントロール群と比べて変化なく、X線照射による組織学的変化を認めなかったが、20週時点では局所的な線維化が散見された。動物実験における肺線維化評価によく用いられるスコアを用いると、照射単独群に比して照射+TJ41群でより線維化が軽度である傾向があった。 また、将来的な臨床応用に向けて、放射線治療とTJ-41の同時併用に対する安全性を確認するため、肺を含む放射線治療を行いかつTJ-41を投与された症例を抽出した。TJ-41に起因すると疑われる副作用がないことを確認し、この結果を欧州放射線腫瘍学会にて報告した。 放射線肺障害軽減効果を確認できたため、次段階の実験にむけて準備を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験薬剤の調達など実験開始に想定以上の期間を要したこと、また放射線肺臓炎モデルの作成には数か月要するが計画時に想定していた2-3か月より長期の約半年弱を要したため、全体的に計画の遅れが生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
項目11「現在までの進捗状況」で述べた理由以外は順調に進行しており、準備をより周到に、作業をより効率良く見直し、計画に沿った研究を進めていく方針である。
|
Causes of Carryover |
交付決定額から研究費を見直した結果、設備備品費として挙げたPCR装置の購入を見送った。また、本年度中に行う予定であったDNA解析の外部委託が、実験の遅れにより未施工であり、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度に予定していたDNA外部委託費用、および消耗品購入を次年度早々に行う予定である。
|
Research Products
(1 results)