2018 Fiscal Year Annual Research Report
Drug repositioning for mitigation of radiation-induced lung injury
Project/Area Number |
16K19866
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
吉川 信彦 大阪医科大学, 医学部, 非常勤講師 (10719917)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 放射線肺障害 / 放射線治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに行った実験から得られた肺CT画像、肺組織標本、肺から抽出したRNAの網羅的解析結果を分析した。本研究の前実験では薬剤投与による放射線肺障害の軽減効果がみられたが、本実験では薬剤投与で障害が軽減される傾向はあったものの、客観的評価において統計学的に有意差を認めなかった。また薬剤投与、非投与群の比較で放射線肺障害増悪に影響する遺伝子の同定を期待し、肺から抽出したRNAの網羅的解析行ったが、今後の治療標的として期待できる情報は得られなかった。前実験結果との乖離がみられた原因は特定できていない。 副次的に得られた知見が2点あり、一つは放射線肺障害の検出に肺CT値の分析が有用であった。マウス肺の放射線障害は比較的軽度であることと、照射から数か月~半年の比較的長期経過観察が必要であった。軽度~中程度の肺障害ではCT画像の視覚的評価では正常とほぼ変化ないものの、肺CT値のヒストグラム解析で組織学的に肺障害があると、全体的にCT値が上昇しており統計学的に有意差を認めた。よって、これまでは適切な肺組織摘出時期を把握するため各群数匹のマウスを犠牲にする必要があったが、CTヒストグラム解析により適切な時期を把握できるようになり、使用マウス数減少にも寄与する。もう一つは皮膚の放射線障害が薬剤投与群で軽減されたことである。ただし視覚的評価のみ、マウス数が少なかったため軽減効果を結論づけることはできないが、肺以外の放射線障害を軽減する可能性が示唆された。 今後も、実験プロトコールを再検討し、本薬剤の軽減効果立証に取り組んでいきたい。また肺以外の臓器保護効果についても示唆されたため、新たな研究につながる可能性のある結果となった。
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