2016 Fiscal Year Research-status Report
グルタミン酸受容体を標的としたPETプローブの薬理学的応用研究
Project/Area Number |
16K19870
|
Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
山崎 友照 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 標識薬剤開発部, 研究員(任常) (80627563)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | PET / mGluR1 / mGluR5 / 癲癇 / [11C]ITDM |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、薬物刺激によるグルタミン酸神経の賦活及び抑制状態におけるグルタミン酸受容体の密度変化をPETを用いて生きたままの状態で観測することである。平成28年度では、薬物刺激としてピロカルピンを用いた癲癇モデル動物を用いて研究を行った。ピロカルピンは、グルタミン酸神経を強刺激し、興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸を過剰にシナプス間隙に放出させ、癲癇様発作を誘発する薬物である。本年度では、グルタミン酸受容体の中でも、挙動があまり知られていない代謝型グルタミン酸受容体1(mGluR1)を標的としたPETイメージング研究を行った。 mGluR1に選択的なPETプローブとして[11C]ITDMを用い、ピロカルピン-癲癇モデル(PISE)ラットにおいて発作後1日(急性期)、1週間(亜急性期)及び3週間(慢性期)で、それぞれPET撮像を行ったところ、視床及び海馬において、[11C]ITDMの放射能集積は亜急性期から慢性期にかけて徐々に低下した。この結果は、これまでに報告されていた、mGluR5の挙動と異なるものであった。 本研究結果を通じて、グルタミン酸の過剰な神経興奮は、グルタミン酸受容体においてサブタイプ間で異なる影響を与えることが示唆された。このことは、今後の癲癇やその他の神経疾患に対する治療薬開発研究に寄与することが期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在のところ、予定通りに進捗している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度はグルタミン酸神経の過剰興奮状態下におけるmGluR1の変化を観測したが、今後は、薬剤投与によるグルタミン酸神経の抑制状態下における同受容体の変化をPETを用いて観測する予定である。
|
Causes of Carryover |
実験の進捗が順調だったため、使用動物数が必要最低限で済んだため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
予備実験のための動物購入にあてる。
|
Research Products
(2 results)