2016 Fiscal Year Research-status Report
CT線源の汎用的モデル化と臓器被ばく線量評価システムWAZA-ARIの高度化
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16K19873
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
古場 裕介 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 放射線防護情報統合センター, 研究員(定常) (10583073)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | X線CT / 被ばく線量 / WAZA-ARI / モンテカルロ計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度では実測データを汎用的に表せるCT装置の線源モデルの作成のためにこれまでに実測したCT装置の線源を線質と分布に対応したパラメータを用いて表すことを行った。線質のパラメータとしてアルミ等価総濾過を、分布のパラメータとして線量分布のFWHM(full width at half maximum)を用いた。ほとんどのCT装置の線源はアルミ等価総濾過として2.5~14 mm、線量分布のFWHMとして120~210 mmの範囲にあることを示した。これらの範囲内の代表的な線源モデルを用いることにより、汎用的な線源モデルデータ群を構築できると考えられる。本研究成果は日本医学物理学会学術大会や日本保健物理学会研究発表会において発表を行った。さらに放射線生物研究会会誌「放射線生物研究」、応用物理学会放射線分科会会誌「放射線」へ総説や論文の投稿を行った。WAZA-ARIv2システムの普及のための活動として日本放射線診療技師会の開催する実践医療被ばく線量評価セミナーや日本放射線技術学会学術大会においてセミナー等を開催した。これらの活動によりWAZA-ARIv2システムのユーザ数は大幅に増加し、平成28年度末時点で1143名となった。 また、運用中のWAZA-ARIv2システムに対して上記の汎用的な線源モデルデータをユーザの任意で選択できる機能を開発し、実装を行った。この機能の実装により、WAZA-ARIv2システムのユーザはWAZA-ARIv2内に登録されていない任意のCT装置に対して臓器被ばく線量計算を行うことができることになる。平成29年度には本機能の検証を行った後、ユーザに公開する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画では任意のCT装置に対する臓器被ばく線量計算を行うための機能の実装は平成29年度に行う予定であったが、線源モデルのパラメータ解析を比較的早期に終えることができたため、平成28年度内にWAZA-ARIシステム内への実装を進めることが出来た。よって本研究は当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
任意のCT装置に対する臓器被ばく線量計算を行うための機能のユーザへの公開を行うにあたり、ユーザ自身が線源パラメータを容易に取得できる測定法の確立を行う必要がある。そのため、従来の測定法であるCTDIファントムとCTDI測定用電離箱線量計を用いた方法と電離箱線量計の代わりにガラス線量計を用いる方法を検討する。ガラス線量計を用いた方法では比較的測定の手間や時間が省略できることが期待できる。さらにガラス線量計を用いた方法では読取り作業などを1施設に集約することができ、各医療施設が校正済みの線量計を保持する必要がないことから測定のための費用を大幅に省略できることが期待できる。 また、本研究で開発したWAZA-ARIv2システムの利用や確立した測定法を普及させるため、関連学会及び研究会などにおいてハンズオンセミナーや講演などを実施する予定である。さらに国内だけでなく国際的にもユーザの拡大を行うため、WAZA-ARIv2システムやホームページ、ユーザマニュアルなどの英語化を進める予定である。
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