2017 Fiscal Year Research-status Report
有機ホウ素化合物を利用した18F含有化合物の簡便合成法開発
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16K19874
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
藤永 雅之 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 標識薬剤開発部, 主任研究員(定常) (70623726)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ジフルオロカルベン |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はまず、(1) CF3化するために必要な前駆体であるジフルオロメチルボロン酸誘導体をボロン酸誘導体から合成する条件の探索を中心に行った。これまでにアルカリ性条件下でジフルオロカルベンを発生させていたため、今期より、中性条件下でジフルオロカルベンが発生可能な条件にて反応を検討した。反応試薬としてPh3P+CF2CO2-を用いた。この試薬は加熱条件下で直ちにCF2カルベンを発生させる事ができるため、ビフェニルボロン酸とビフェニルボロン酸エステルを用いて、反応性について精査したところ、目的物の生成は認められず、系中で発生するPPh3とボロン酸の反応物ができている可能性が示唆された。そのため、現在、BrCF2P(O)(OEt)2と3級アミンを用いた別の系にて反応を検討しているところである。 一方、今期は予定していた(2) ビフェニルボロン酸誘導体を用いてフッ素化の検討を行った。 錯体にはCu(OTf)2(Py)4を用いて反応を検討したところ、目的生成物は確認できた。すでにこの方法は報告例があるものの、基質の使用量がどうしても多くなってしまう傾向にある。原因として反応条件下では副生成物として4-フェニルフェノールやビフェニルといったものが多く見られることが原因であると考えられた。実際に、反応を検討した際にも、これらの副生成物は確認する事ができた。つまり、反応中のこれら副生成物を減らす条件を捜す必要がある。そのため、現在、酸素条件下、添加物など種々の条件検討を行い、原料となるビフェニルボロン酸誘導体の反応中の安定性をあげる条件について検討を行うところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度はトリフルオロメチル化に関して、前駆体の合成を確立するべき年であったが、その条件については未だ検討段階のままである。ジフルオロカルベンの安定性や取扱い、性質について不明な点が多く、思い通りに反応が進行しない点が主な原因として挙げられる。 一方、直接フッ素化の検討を行うことによって、副生成物が多くできてくることが明らかとなり、このことが一般的な18F化時に原料を多く必要としてしまう原因であると考えられるため、そのような副生成物ができない(安定性をあげる)条件を今後探すことで、問題が解決できるかもしれないという道筋を立てることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) ボロン酸誘導体から転移反応を利用してジフルオロメチルボロン酸エステル基へと変換する反応を検討するために、今後はBrCF2P(O)(OEt)2と3級アミンを用いて反応を行うことにした。この系では、アミン-CF2-付加体が反応中間体として生成している可能性があるため、この活性種とボロン酸誘導体から十分に目的物が得られると考えられる。ただし、この方法により目的物が得られない場合には、別法としてTsO-CF2OTsを合成する方法を新たに検討し、反応系中でTsOCF2-18Fに変換した後にビフェニルボロン酸による付加反応をする条件を合わせて検討することとする。 (2) 直接フッ素化反応の検討について、基質量を1mgでも反応が進行するようにするため、副反応をできるだけ抑える条件の探索を主に検討する。そのために反応の条件として酸素条件下の有無や添加物などを検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定より購入予定であった試薬が小額で済んだため、次年度使用額が生じた。 生じた次年度使用額はH30年度に使用予定の消耗品購入に充てる予定である。
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