2016 Fiscal Year Research-status Report
妊娠・出産経験による放射線誘発乳がんの抑制メカニズムの研究
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16K19876
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
高畠 賢 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 放射線影響研究部, 博士研究員(任常) (30756044)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 放射線 / 妊娠・出産 / ラット / 乳がん |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠・出産経験をした女性は乳がんのリスクが低下することが知られている。しかしながら、妊娠・出産経験による放射線誘発乳がんのリスクの減少とその分子メカニズムは明らかになっていない。本研究は、放射線被ばく後の乳がんリスクが妊娠・出産経験によってなぜ変化するかを明らかにするために、乳がんのサブタイプ、ホルモン変化、乳腺細胞の分画の変化が放射線被ばくや妊娠・出産経験でどのように変化するかをラット乳がんモデルで明らかにすることを目的とした。本年度は、これまでの動物実験で取得したラット乳がんを免疫化学染色法によるサブタイプの分類と、ホルモン血清取得のための動物実験、乳腺細胞の分画をフローサイトメトリーで解析するための条件設定を実施した。乳がんのサブタイプ分類ではER, PgR, Ki-67, HER2をマーカーとして用いて、約200検体のラット乳がんを染色した。ラット乳がんは、ホルモン受容体(ERとPgR)陽性と陰性のどちらのタイプも存在していた。また放射線被ばく後のホルモン変化を明らかにするために、思春期前または後のラットに放射線照射し、その後妊娠・出産の有無で実験群を分類して発がん過程(生後22週齢)で解剖した。これまでに動物実験を完了して、約60検体の血清を取得した。乳腺細胞の分画の実験では、ラット乳腺をコラゲナーゼ処理によって細胞を単離する実験系を確立した。単離した細胞をCD49f、CD24抗体を使用してフローサイトメータで解析することによって乳腺の内腔および基底細胞に分画することに成功した。さらに、CD49f、CD24、CD61抗体を使用することにより内腔前駆細胞と思われる細胞の分画にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乳がんのサブタイプを分類するための実験、ホルモン変化の解析のための血清の取得、乳腺細胞の分画をフローサイトメータで解析するための条件の設定を完了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
乳がんのサブタイプ分類を詳細に行う。また血清についてはエストロジオールやプロジェステロンなどの乳がんに関わるホルモンの測定を予定している。乳腺細胞の分画の解析に関しては、妊娠・出産の有無での違いを検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
ホルモン測定用の血清を取得するための動物実験の開始が遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
血清を取得したため、予定どおりホルモンを測定する。
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