2016 Fiscal Year Research-status Report
細胞機能調整技術を活用した放射性核種封入リポソームによる固形癌内用療法の最適化
Project/Area Number |
16K19877
|
Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
濱道 修生 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 研究員 (60721686)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 放射性核種封入リポソーム / 放射性核種 / リポソーム / 固形がん / 内用療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究目的は、細胞機能の調整を活用し、放射性核種(RI)封入リポソームによる固形癌の内用療法を最適化することである。内用療法の成功には、RIの低い正常組織内集積と高い腫瘍内集積が重要である。そこで、申請者らはリポソームに封入されたRI結合錯体の性質と各組織におけるリポソームの分解能に着目し、正常組織からはRIのクリアランスが促進される一方、腫瘍ではリポソームがマクロファージ (MF) に貪食された後でもRIが細胞内に蓄積するようなMFの細胞機能を調整する技術開発を進めている。
まず、複数の腫瘍皮下移植マウスに、In-111 標識されたDTPA、EC、並びに新規リガンドを封入したリポソームを投与し、体内動態を検討した。In-111 DTPAでは網内系組織(肝臓、脾臓)からの排出が見られなかったが、In-111 EC、In-111 新規リガンドでは排出が確認された。また、リポソームの投与量を変えることにより、In-111 ECを封入しても網内系クリアランスが確認されず、リポソームの分解能の違いが認められた。さらに、肝臓内リポソームの状態をHPLCで解析し、intactのリポソームが確認されたため、網内系組織によるリポソームの処理能力の重要性が明らかになった。
この結果をもとに、リポソームとMFの関連に着目し、まずリポソームとMFの局在を組織学的手法により解析した。さらに、In-111 DTPA、並びにIn-111 ECを封入したDSPGリポソームをMF様細胞株であるRAW264細胞に添加し、リポソームを貪食させた後、細胞内に残る放射活性を測定した。In-111 DTPAと比較した際、In-111 ECではIn-111集積の低下が確認されたため、細胞からのクリアランスに関与すると思われるトランスポーターの阻害剤を用いて、さらなる検討を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画通り、1)腫瘍内、及び肝臓内における放射性核種封入リポソームの分解能を評価し、2)担がんマウスを用いてリポソームとマクロファージ系細胞の局在を確認し、3)RAW264細胞を用いてIn-111 ECによるクリアランスの機序を解析している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究計画は、放射性核種封入リポソームを用いた内用療法最適化を可能にする免疫系細胞(単球・マクロファージ)の作製と治療実験である。そのためにはIn-111 EC、又はIn-111 新規リガンドによるクリアランスの機序の解明が重要である。トランスポーター阻害剤は複数のターゲットを阻害する可能性があり、目的の達成が難しい場合は、siRNAを用いて特異的にトランスポーターをノックダウンする。また、治療実験に向けて、複数のヒト腫瘍皮下移植モデルを検討し、放射性核種封入リポソームの体内動態をSPECT/CT装置を用いて解析する。
|
Causes of Carryover |
研究が順調に進展しているため、当初計画していた消耗品(放射性核種)、及び実験動物を最小限に抑えることができた結果、予算に未使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度の研究では、内用療法最適化が可能な新規免疫系細胞の開発とヌードマウスを用いた治療実験を目指す。
|
Research Products
(3 results)