2016 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍選択的融解アデノウイルス製剤と免疫チェックポイント阻害剤との併用効果の検討
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16K19893
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
黒田 新士 岡山大学, 大学病院, 助教 (60633758)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 腫瘍融解アデノウイルス / ウイルス療法 / 免疫チェックポイント阻害 / 抗PD-1抗体 / 免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初計画していた平成28年度の研究実施計画は以下の2点であり、それぞれの研究成果について概説する。 Ⅰ.ヒト食道癌・胃癌組織(手術標本)におけるPD-L1発現と臨床病理学的特徴の検討 255例の胃癌手術標本においてPD-L1発現を免疫組織化学染色にて評価したところ、陽性は37例(15%)であった。臨床病理学的因子との検討において、PD-L1陽性は進行度が高くまた浸潤傾向の強い症例に有意に多く認められ、組織型では分化型癌に多く認められる傾向にあった。生存分析では、PD-L1陽性群は陰性群と比較し有意に予後不良で、多変量解析においても、PD-L1陽性は独立した予後不良因子であった。また、再発形式に関する検討において、PD-L1陽性群では腹膜播種再発が有意に少なく、血行性転移再発が多い傾向にあった。腹膜播種再発を来した25例のうち3例において再発時の播種結節の組織学的検討が可能であったが、この3例ではいずれも初回手術の原発巣と再発時の腹膜播種巣ともにPD-L1陰性であった。多変量解析では、PD-L1発現が腹膜播種再発の独立した予測因子であることが示された。 Ⅱ.ヒト食道癌組織におけるテロメライシン投与のがん微小環境に及ぼす影響の検討 岡山大学で現在進行中の臨床研究(テロメライシンと放射線との併用)において、治療前後に採取された生検組織におけるCD8リンパ球の発現を免疫組織化学染色にて確認したが、治療前後で大きな差異を認めなかった。2症例のみの検討であることや採取部位が治療前後で異なることなどから、結論を得るためには更なる検討が必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究実施計画に沿って順調に研究を進めることができており、また次年度に予定している研究の準備にも取りかかることができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究実施計画(下記)通りに、腫瘍融解アデノウイルス製剤と抗PD-1抗体との併用効果に関して、in vitroやin vivoでの検討を開始する予定である。 Ⅲ.マウスがん細胞株におけるPD-L1発現レベルの検討 Ⅳ.マウスがん細胞株を用いた皮下移植腫瘍モデルにおける治療効果とがん微小環境への影響 Ⅴ.転移を有するマウス同所性移植腫瘍モデルにおける治療効果とがん微小環境への影響
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Causes of Carryover |
実験消耗品の購入が当初の予定より安く済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越しとなった金額は主に次年度の実験消耗品に用いる予定である。
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Research Products
(1 results)