2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K19901
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
夏田 孔史 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (80644054)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 羊膜 / 肝細胞 / 肝細胞移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
①羊膜の回収・保存:当院でインフォームド・コンセントを得られた予定帝王切開症例から出産の際に羊膜を回収し凍結保存を行った。羊膜上皮細胞のviabilityをGreen/Red染色で確認したところ90%以上と良好であり、実験遂行に支障なかった。 ②肝細胞の培養:羊膜を細切し培養皿に金属リングで固定し、7週齢のWistar雄性ラットから分離した初代肝細胞を播種。鏡顕上では対照群の肝細胞は10日程でほぼ死滅するのに対し、羊膜群は同時期まで播種当初の形態を保っていた。 ③ラットアルブミン(rAlb)の測定:上記②の培養上清を回収しrAlbをELISA法で測定したところ、対照群のrAlbは10日程で測定不可となるのに対し羊膜群は最大で播種後2ヵ月まで当初のrAlb濃度が保たれた。 ④考察と追加実験:上記③の結果を得られた要因として羊膜緻密層に多く含まれる細胞外マトリックス(ECM)の関与を考え、このcoating-dishで同様の実験を行うも対照群と同様の結果であった。また羊膜上皮が産生するGrowth Factor (GF)の関与を考え、この一種であるHepatocyte Frowth Factor (HGF)の測定を同様にELISAで行ったが経時的に低下しており、結果への関与は不明であった。メカニズム解明のためにさらなる実験が必要と考えられる。 ⑤上記の結果を元に国内での学会発表を行った(第19回日本異種移植研究会、第16回日本再生医療学会総会、第117回日本外科学会定期学術総会)。また論文についても現在作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究目標は「羊膜を用いた移植デバイスの作製」であった。上述の通り羊膜を培養基質として用いることでラットアルブミンンの産生能が少なくとも2ヵ月間維持可能であり、上述の目標を達成することができた。しかしながらそのメカニズムについては今のところ不明である。次年度の目標は「移植デバイスの野生型ラットへの移植」であるが、その前にメカニズムの解明が必要と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り1年目の追加実験を行う。 移植デバイスがラットアルブミン産生能を維持できた要因として、1.羊膜緻密層に含まれるECM、2.羊膜上皮が産生するGF、が考えられるが、これまでの実験ではいずれの関与も証明できなかった(研究実績の概要④を参照)。 1.ECM:市販のcoating-dishではアルブミン産生能が維持できなかったため、ECMを自分でcoatingすることでより厚みのあるdishを作製し再検を行う。これによって有意差が見られれば、羊膜に含まれるECMのうち(ラミニン・Ⅳ型コラーゲンなど)どの成分が関与しているのかも検討が可能であると思われる。 2.GF:昨年度は播種後1カ月目までのHGF濃度を測定したところ、濃度は常に低下傾向であるものの1カ月目でも検出感度は維持できていた。まず培養期間を延長しrAlbが維持されている間にHGFが枯渇するかを検証する。また羊膜上皮細胞自体のviabilityの評価を鏡顕や免疫染色にて行う。
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Causes of Carryover |
研究費の残余のため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に繰り越し、引き続き研究費として使用する。
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