2016 Fiscal Year Research-status Report
タブレット端末を用いた手術ナビゲーションシステムの構築と乳房温存手術への適用
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16K19903
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
関 朋子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70528900)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 乳がん / ナビゲーションサージャリー / タブレット端末 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳房温存術において術前・術中に腫瘍の局在と広がりを確認しながら手術を施行できれば、外科医は深い自信と安心感を持って、必要最低限にして十分な範囲の乳腺切除を行うことができ、患者は乳房の整容性を保ち、かつ根治度の高い手術を受けることが可能となる。我々はレーザー光線により、実際の患者乳房の任意の場所・角度で切ったスライスのMRI画像を、遅延なくリアルタイムでタブレット端末に表示可能な「Virtual Slicer」を開発した。これを用いて次の研究を遂行中である。 我々は既にMRI画像および3Dスキャナーで取得した3次元情報を基に、3Dプリンタを用いて乳腺のファントムを作成した。さらに多くの患者の体表面データを取得し、システムの普遍性の検証を遂行中である。また、被検者の体表を指し示すと、タブレット上でその位置を正確に表示する「マーキングペン」の実装を行い、複数の熟練医によるエコーによる術前マーキングと、Virtual Slicerによる術前マーキングにおいて、位置の乖離が認められるか否かを検査室で検証した。 本研究は広い意味で、いわゆる「ナビゲーションサージャリー」を実現することを目的としているが、乳房の手術へ実用レベルで応用した例は未だかつて無い。上記研究を継続することで、手元で自在に操作可能なタブレット端末により、任意のMRIスライスを患者体表面を確認しながら描出可能なVirtual Slicerを使用することで、手術の精度は飛躍的に上昇し、根治性と整容性を高いレベルで両立することが可能となると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に本システムの患者適用に関して慶應義塾大学医学部の倫理申請が通過しているが、これを基にインフォームドコンセントを行った術前乳癌症例を対象に、Virtual Slicerシステムが運用可能か否か、およびシステムの位置精度の検証を行っている中途である。本技術は、超音波で確認しがたい腫瘍やその進展範囲を眼下に直接確認することを目的としているが、この段階では位置情報の検証を容易に行うため、MRIおよび超音波の両方のモダリティで明確に確認できる乳癌症例を選定している。問題点としては、位置情報を得るための事前のキャリブレーションが、検査室によってカメラの位置が異なるため、困難となる場合があり、安定した計測結果が得られないケースがあることである。これに対して、現在は新しい位置情報カメラを導入することで、解決策を模索している。患者体表と、タブレット上のMRI画像の位置関係をさらに感覚的に把握しやすくするため、被検者の体表を指し示すと、タブレット上でその位置を正確に表示する「マーキングペン」を実装し、こちらの運用もすでに開始している。現在はファントムにおいてその動作と精度を確認している最中であるが、今後は患者体表への適用が可能か否かを検証する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画としては、まずは検査室において、患者体表面へ予め決められた部位にマーカーを貼付し、本システムの位置合わせ・同期など、今まで変形のない剛体であるファントムでは運用可能であった事項が、実際の患者に対してスムースに適用可能であるかどうかを検証する予定である。当院では仰臥位MRI撮影時には腕の位置を固定する補助装具を装着して撮影しているが、体位の差による乳房の変形を最小限とするため、同じ補助装具を用いて同体位を実現し、検証を行っていく。 次に、通常の手術前検査を想定して、エコーにて腫瘤病変の位置・範囲および想定される切除範囲のマーキングを行う。これらは、卒後10年以降の複数の乳腺専門医および10年未満の専修医により行われる予定である。その後Virtual Slicerを用いて同様のマーキングを施行してもらい、エコーによるマーキングとの位置の乖離をデータとして収集する。また、エコーを用いた場合およびVirtual Slicerを用いた場合の、専門医・専修医のマーキング位置の差も同時に検討する。約10人の患者にこれを適用し、システム運用の堅実性と、精度の検証を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
適正な使用を行った結果、端数が発生した
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品費として適正に使用する予定である
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