2016 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム医療への応用を可能にする乳腺針生検における革新的分子蛍光イメージングの確立
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16K19904
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
高丸 智子 昭和大学, 医学部, 講師 (00404624)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 蛍光プローブ / 分子イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、対象とする乳癌について、手術検体および針生検検体に対する蛍光プローブの癌検出能を検証するための実験を行った。乳癌手術検体10症例および針生検検体53症例178検体に対して蛍光プローブの酵素反応による蛍光強度測定を行った。蛍光強度の時間的変化と良性悪性および病理組織型との関連を解析することにより、どのような症例に対して蛍光プローブが有用かを検証した。 実臨床上では、蛍光プローブによる判定は手術検体の病理診断よりも、針生検における組織診断予測がより有用と考えられるため、針生検を重視して解析を施行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで研究代表者は、おおむね交付申請書に記載した「研究実施計画」に沿った研究を実施してきた。本研究の解析により蛍光プローブによる蛍光強度の差異と乳腺組織との相関が明らかとなった。乳腺組織の良性・悪性の鑑別のほかに、良性腫瘍と脂肪組織の鑑別も潜在的に可能であることが明らかとなった。これにより乳腺組織の針生検時に、検体内に悪性組織が含まれているか否かのみならず、何らかの乳腺組織が含まれているか脂肪組織のみなのかの判断が可能となり、将来的な臨床応用の幅が広がると考えられる。本研究の成果については、日本癌学会およびSan Antonio Breast Cancer Symposiumにて発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は平成28年度に得られたデータを基にして、基礎医学的な解析を進め、ゲノム医療への応用を目指す。また、これまでの検討で用いた蛍光プローブを見直し、より性能の高いプローブの探索も目指す。ゲノム医療、特にprecision medicineをより汎用的に行うためには、患者の遺伝情報を得る必要がある。乳腺においては原発巣と再発巣では遺伝情報が異なるという報告が示す通り、各病巣においての遺伝情報を的確に得ることがprecision medicineの基盤として重要な要素を占める。遺伝情報を得るための検体採取について病理学的評価を行った後遺伝情報の検索を行った場合は必ず検体の劣化を認めざるを得ない。よって、プローブによるリアルタイムイメージングによって適切な検体が得られることは大変有用である。この見地から、蛍光プローブにより適切と考えられる検体からどの程度正確に遺伝情報を得ることが可能か検討する。 また、より性能の高いプローブを探索するため、乳腺の細胞からライセートを作成し、多数の候補となる酵素反応基質部分のみを変更したプローブを検証、その結果をもとに実臨床にて検証を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度において解析ソフトを購入し、実験結果の解析を行う予定であったが、当該年度では実験のサンプリングおよびデータ収集が主な研究内容となり解析ソフトを用いて行われなかったため、当該助成金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の使用計画として実験に関する消耗品の購入にあわせ解析ソフトの購入、論文作成に関わる費用と論文掲載料として使用予定である。
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