2017 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム医療への応用を可能にする乳腺針生検における革新的分子蛍光イメージングの確立
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16K19904
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
高丸 智子 昭和大学, 医学部, 講師 (00404624)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 蛍光プローブ / 分子イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
乳癌を対象とし、蛍光プローブの手術検体および針生検検体に対する癌診断能を検証した。乳癌手術10症例および針生検53症例、計63症例178検体に対して蛍光プローブの酵素反応による蛍光強度測定を行った。蛍光強度の時間的変化と良性悪性および病理組織型亜分類との関連を解析し、蛍光プローブの一つであるγGlu-HMRG (γ-glutamyl hydroxymethylrhodamine green) の有用性を検討し、個々の病理組織型に対する診断能を検証した。 結果、針生検検体に対して感度70%、特異度61%にて良性と悪性の鑑別が可能であった。病理組織型に対する診断能について、癌のうち浸潤癌と非浸潤癌の鑑別は困難であった。しかしながら少数例の検討であり今後さらなる検討が必要である。また乳腺症や線維線種などの良性疾患と浸潤癌との鑑別は可能であった。一方、良性病変と非浸潤癌との鑑別は困難であった。 実臨床での応用をふまえ、今後、高精度に良性病変と悪性病変の鑑別が可能な蛍光プローブおよび悪性病変の中でも浸潤癌と非浸潤癌の鑑別が可能である蛍光プローブの探索が必要である。このため次のステップとして、乳腺組織から組織ライセートを作成し、多数の蛍光プローブから上記の条件に合致する有用なプローブのスクリーニングを計画している。現在組織検体の採取および組織ライセートを作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者は、これまでにおおむね交付申請書に記載した「研究実施計画」に沿って研究を実施してきた。しかしながら、研究結果を加味し、次のステップとして良性と悪性の鑑別を高感度に診断可能とする蛍光プローブの探索を目指す。同時に浸潤癌と非浸潤癌の鑑別、浸潤癌と線維線種や乳腺症などの良性疾患が鑑別が可能なプローブの探索を目指す。 これらの遂行のため、乳腺組織より組織ライセートを作成し、蛍光プローブのスクリーニングを行う必要があり、このため若干進捗の遅れがある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでに得られたデータを基にして、臨床応用をめざし解析をすすめる。 診断性能の高い蛍光プローブを探索するため、乳腺組織から組織ライセートを作成し、多数の蛍光プローブ候補の中から目的に合った蛍光プローブのスクリーニングを行う。 スクリーニングによって選択された蛍光プローブを、それぞれ採取された針生検検体に散布をし、蛍光強度を測定する。測定結果と病理結果との対比を行い、良性病変と悪性病変の鑑別について蛍光強度のカットオフ値を決定し、感度・特異度等を算出する。良好な診断能が得られた蛍光プローブについて、臨床検体を用い、浸潤癌と非浸潤癌、非浸潤癌と乳腺症、良性腫瘍と正常乳腺組織についてそれぞれの鑑別能について検証を行う。
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Causes of Carryover |
(理由) 当該年度においては実験結果の解析、学会および論文にて成果発表を行う予定であった。しかしながら、実験計画の見直しにより今年度の成果発表を見合わせることとなったため次年度使用額が生じた。 (使用計画) 次年度の使用計画として実験に関する消耗品の購入にあわせ、論文作成に関わる費用と論文掲載料として使用予定である。
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