2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K19905
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
セドキーナ アンナ 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 研究技術員 (80626698)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | BRCA1 / NfkBシグナリング / Bortezomib / 乳癌 / 卵巣癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
BRCA1機能不全はBasal-lile乳癌と関連があり、この予後不良乳癌の治療開発が早急に望まれる。近年BRCA1変異によるBRCA1機能不全とNFkB経路の亢進が近年報告された。このことからNFkB経路を抑制するBortezomibがBRCA1機能不全細胞の増殖を選択的に抑制しうるという仮説を立て検討した。BRCA1遺伝子変異による機能不全を伴う乳癌及び卵巣癌細胞株と、それぞれに野生型BRCA1をintegrationした細胞を用いて、Bortezomibに対するin vitroでの薬剤感受性試験を行った。その結果BRCA1機能不全細胞がBortezomibに対して高感受性を示した。またNFkB経路はBRCA1機能不全細胞で亢進し、bortezomibで抑制されることもp65の局在変化で証明した。同様の結果をsiRNAによるBRCA1発現抑制を用いた実験系でも証明した。これによりBRCA1の発現低下とBRCA1の変異がNFkB経路を亢進させ、またBortezomibに高感受性を示すことが証明された。また最近の報告で、化学治療前のTriple-negative患者の検体を用いたXenograftを作成し、Bortezomibでの治療を行った論文が発表された(Breast Cancer Research and Treatment (2018) 170:211-234 )。この論文によるとBRCA1に変異があるTriple-negativeの患者の方が、Bortezomibに対する高感受性であることが証明された。この報告で明らかにされたBRCA1変異とBortezomibの高感受性は本研究でのBRCA1変異-NfkB経路亢進-Bortezomib高感受性を裏付けるものである。このようにin vitroで立証された仮説が実際in vivoでも成り立つことが証明されつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでBRCA1変異やBRCA1発現低下によるBRCA1機能不全がNFkBシグナリングを亢進させ、NFkBシグナリングを抑制するBortezomibに高い感受性を示すことをin vitroの実験系で証明してきた。in vivoでの実験系で再現性を確認するために、昨年度はBRCA1の変異がある卵巣癌と乳癌の細胞株を免疫不全マウスに皮下移植した。それとともに野生型BRCA1をintegrationした卵巣癌と乳癌の細胞も皮下移植した。BRCA1に変異がある卵巣癌と乳癌の細胞株によるXenograftは、腫瘍の成長率が非常に悪く、Bortezomibによる薬剤感受性の実験結果の信憑性に問題がある。マウスでの腫瘍の成長率をよくするために移植細胞数を多くするなど、実験方法を改善させる方法を模索している。しかしIn vivoで細胞株を使用する実験は困難を極めている。In vivoでの細胞株皮下移植に変わる実験方法として、新たに発表された論文(Breast Cancer Research and Treatment (2018) 170:211-234 )を参考に、臨床検体を直接マウスに打つPatient-derived xenograft (PDX) modelsもあわせて本研究で使用することを決定した。臨床検体も数症例得ることが予想でき、現在検討に向けて倫理的分野から検討を開始している段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
BRCA1の変異及びBRCA1の発現低下によるBRCA1機能不全がNFkBシグナリングを亢進させ、Bortezomibに高い感受性を示すことをin vitroで証明した。今後は細胞株だけでなく、臨床検体を免疫不全マウスに皮下摂取しin vivoでの実験系でNfkBシグナリングの亢進やBortezomibへの感受性を検討する。 新たな報告(Breast Cancer Research and Treatment (2018) 170:211-234 )を受け、マウスへの臨床検体のXenograft作成の実験系を確立する予定である。上記の論文でも示されているようにBRCA1変異の有無とBRCA1の発現低下の有無を検討し、化学療法を受ける前の臨床検体をPatient-derived xenograft (PDX) models としてマウスに移植をする。このモデルは乳癌、卵巣癌ともに作成し、Bortezomibへの感受性、およびNFkBシグナリングの状況を検討する予定である。臨床検体での実験はBRCA1変異とBRCA1低発現の検体数が非常に少なく、現在は統計学的処理をできないことが予想されるため、BRCA1発現量をもとに検討する予定である。検体収集に先立ちPatient-derived xenograft (PDX) modelsに関し倫理的問題に関しIRBでの承認を待ってBortezomibへの感受性を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究は培養細胞用いたin vitro, in vivoの実験と臨床検体を用いた研究から構成される。In vitroでの基礎実験は完了し仮説を証明することができた。In vivoでの実験系ではBRCA1機能低下細胞の増殖能が非常に低く改善が必要である。また研究の質を高めるためにも臨床検体を用いた検討をはじめることとなったが、予想以上に倫理委員会の承認に時間がかかった。また検討症例数は可能な限り多いことが望ましい。このため今年度は摂取する細胞株の細胞数を増やすなどin vivoでの実験系の改善、およびBRCA1変異とBRCA1発現低下した臨床検体を多く用い、Patient-derived xenograft (PDX) modelsのマウスを作成し検討する予定である。モデル動物が作成でき次第、Bortezomib感受性の検討とNFkBシグナリングの検討を行い、様々な統計学的処理(多変量解析やcorelationなどなど)を行い、論文を執筆する予定である。
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