2017 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of culture and drug sensitivity test system of circulating tumor cell by biomaterial coating
Project/Area Number |
16K19925
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三宅 祐一朗 大阪大学, 医学系研究科, 招へい研究員 (80724260)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | CTC / EMT / 遺伝子変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
血中の癌細胞(循環腫瘍細胞 CTC:circulating tumor cell)の検出に際しては、上皮性を失い間葉転換した癌細胞は見逃がされる可能性が指摘されている。本研究では、EpCAMなどの上皮性マーカーをCTC選別のための絶対的な条件とせず、流体力学と細胞電荷を利用した細胞分離装置を利用した。この器機には微細孔からひとつの細胞を拾い上げる機能も備わっている。 29年度には、大腸癌患者24名からCTCの分離を試みた。微細孔に捕らえられた細胞はCD45と上皮性マーカーのサイトケラチンで染色し、形態学的特徴(核の巨大化、球状化、核小体の明瞭化、細胞サイズの巨大化、クロマチン増加など)も踏まえて癌細胞と思われる細胞の候補をひとつずつチューブに回収した。この時、サイトケラチンが陽性でなくても形態学的に癌細胞と思われる細胞もCTCの候補に含めた。シングルセルからの全ゲノム増幅、PCR,サンガーシーケンスによってKRAS, BRAF, PIK3CAの遺伝子変異を確定した。シングルセルからの全ゲノム増幅は、ホルマリン固定された細胞を扱うため容易ではなかったが、最終的に安定した結果を得ることができた。結果として、サイトケラチン陽性の癌細胞候補を7例に、陰性の癌細胞候補を9例に認め、それぞれ18個と25個の癌細胞候補を回収した。遺伝子変異検索の結果、陽性群では3個と陰性群2個に変異を検出し、CTCの中には上皮性の分子発現を欠く細胞も存在することを証明できた。E-cad-Fc マトリックス上で癌細胞株は、紡錘状の形態変化とE-cadherinの減少とSnail-1など間葉系マーカーの増加がみられ、EMTのシグナルが細胞内に伝導された。EMTは細胞の遊走や浸潤を促進するので、細胞活動の活性化という点で、CTC培養の一翼を担う可能性が考えられ、今後に繋がる成果である。
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