2016 Fiscal Year Research-status Report
ヒト腸管粘膜固有層のCD14陰性マクロファージの機能解析
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16K19926
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
武田 昂樹 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (20768965)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マクロファージ / CD14 / CD13 / phagocytosis |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸癌手術症例の非癌部腸管において、CD13によるCD14-CD11clow細胞の細分化を行った。20歳以上のIBDを合併していない腸管切除を行う症例(大腸癌、良性腫瘍など)より切除された標本のうち非癌部(約4×10センチメートル)を切除腸管から採取した。EDTAにより腸管上皮細胞を除去した後に腸管を洗浄後、筋層、漿膜を除去することで粘膜層のみし、コラゲナーゼ、ディスパーゼにより腸管粘膜の細胞を単離し、Percollを用いて赤血球および死細胞を除去した。採取細胞を表面抗原マーカー(lineage marker(CD3, CD16,CD19,CD20,CD56), CD11c, CD13, HLA-DR)で染色した上で、FACSにより展開し、Lin-HLA-DR+CD11clowCD14+ (CD14+MΦ)、Lin-HLA-DR+CD11clowCD14-CD13+(CD14-MΦ)をsortingした。 Lin-HLADR+細胞に占めるCD14-MΦとCD14+MΦのpopulationはそれぞれ約30%および10%であり、CD14-MΦの方が多い結果であった。これらの細胞をMay-Giemsa染色をしたところ、CD14+MΦおよびCD14-MΦともに形態学的には内部に小胞を有するN/C比が比較的大きい細胞であり、両者ともに貪食能を持っていることが示唆された。また、sortingした細胞のcDNAライブラリを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、当研究室で行われているプロトコールで抗原提示細胞を採取し、FACSを行っていたが、本研究で対象とするCD14-MΦの採取が一定しないことが問題となった。原因としてはサンプルサイズにより採取できる腸管粘膜固有層の単核球の数が限られており、採取できる細胞数が少ないためと考えられた。また、CD13による細分化を行う際にうまくFACSで細胞群を展開できず、実験系を確立するのに時間を要した。 細胞数が少なければsort後の実験に支障をきたし十分な解析が行えない。特にmRNA抽出においては細胞数が少なすぎqualityのよい十分なmRNAが抽出できず、cDNAライブラリの作成は困難を極めた。検体入手が手術症例であるため手術の有無及び切除腸管の大きさ、術前の腸内環境が実験施行及び実験結果に大きく影響している。また、大腸の部位や術前の患者の栄養状態を含めた全身状態、基礎疾患によっても抗原提示細胞のpopulationに違いがあり、十分な症例数を用いて解析する必要があると考えられる。今後、炎症性腸疾患においても同様の細胞を採取し、解析する必要があるが、炎症性腸疾患の手術症例は大腸癌の症例数に比し少なく検体入手はさらに困難を極めると考えられる。上記の制約下でも検体の酵素処理およびsorting方法の見直しにより上記の実験実績を挙げることができていることは評価すべきことであると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
【正常腸管におけるCD14-MΦとCD14+MΦの機能解析】 今後はsortingしたCD14-MΦとCD14+MΦにTLR ligandによる刺激を加え、サイトカイン産生をELISAにより解析する。CD14-MΦとCD14+MΦの局在を評価するため切除標本のパラフィンブロックを作製し、免疫染色により評価する。CD14-MΦとCD14+MΦの貪食能をPhagocytosis assayを用いて評価する 【IBD症例におけるCD14-MφとCD14+Mφの機能解析】 炎症性腸疾患の手術症例を用いて炎症状態におけるCD14-MΦとCD14+MΦの機能解析を行う。方法としては正常腸管と同様にsortingを行いCD14-MΦとCD14+MΦのcDNAライブラリを作成し、qRT-PCRによりサイトカインとTLRのmRNAの発現解析を行う。さらにTLRリガンドによる刺激によるサイトカイン産生をELISAにより解析し、Nagative T cellとの共培養によりT細胞の分化誘導能を評価する。また、CD14-MΦとCD14+MΦの細胞の局在を免疫染色により評価する。上記解析の結果を正常腸管における解析と比較検討し、炎症性腸疾患におけるCD14-MΦとCD14+MΦの機能を明らかにする。ただし、炎症性腸疾患の症例は限られており、検体入手に難渋することが予想される。そのため他施設から検体入手が可能となるよう手配を進めているところである。
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Causes of Carryover |
研究費の経費削減を念頭に相見積もりを取って発注を行っており、研究費の削減が可能であった為。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後、細胞機能解析を行っていく予定である
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