2016 Fiscal Year Research-status Report
癌幹細胞に起因する抗腫瘍免疫回避に対する治療法の探索
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16K19927
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浦川 真哉 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (40768975)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 食道癌 / 癌幹細胞 / PDL1 / 抗腫瘍免疫回避機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
2000年から2013年に、当科で根治切除を行った食道癌251例の切除検体を対象とし、腫瘍細胞および免疫担当細胞のPD-L1発現を免疫染色で評価した。PD-L1高発現は15.5%、低発現は84.5%の頻度であり、高発現群と低発現群では、年齢、性別、腫瘍の局在、組織型、術前治療の有無、pStage、術前治療の有無、術前治療例における組織学的治療効果について両群間で統計学的有意差は認なかった。予後は高発現群で有意に不良であった(log-rank, p=0.0207)。現在、同様の症例のブロックを用いて癌幹細胞マーカーでの免疫組織化学染色を行い、上記結果と合わせて解析を行う予定である。 また2015年から2016年にDCF治療を行った食道癌症例で、腫瘍組織や末梢血から抽出したPBMCにおいて、リンパ球中のPD-1、Tim3、CD25、ICOS、OX-40、骨髄系細胞中のPDL-1といった表面分子マーカー、TregやMDSCといった抑制性免疫細胞の治療前後での推移をフローサイトメトリーを用いて解析した。 これらの結果をもとに、現在食道癌組織からの癌幹細胞をソーティングし、培養を行った上で化学療法の影響や免疫担当細胞への影響をみていく実験を継続し行っている。 これらの実験結果は、食道癌における癌幹細胞を標的とした創薬へつながる可能性があり、また食道癌術前化学療法症例の免疫プロファイリングを構築することで化学療法と免疫療法との複合療法への可能性につながると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
食道癌における癌幹細胞、非癌幹細胞に対する化学療法の影響(PDL-1発現、化学療法への耐性化など)や癌幹細胞、非癌幹細胞の腫瘍内免疫担当細胞に及ぼす影響をみていく目的で本研究は始めている。しかし、食道癌細胞の培養というin vitroの実験だけでは、実験結果の解釈が困難であり、『研究実績の概要』で示した通りではあるが、背景知識として食道癌化学療法前後でのヒト組織(腫瘍組織・末梢血)での検証を追加し行っている。そのため当初の予定よりは『やや遅れている』という結果となっている。ただ正確な実験と適切なデータ解釈のためには、不可欠な過程と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の研究計画書をもとに、in vitroで培養した食道癌細胞における癌幹細胞、非癌幹細胞に対する化学療法の影響や癌幹細胞、非癌幹細胞の腫瘍内免疫担当細胞に及ぼす影響を今後も継続して行っていく。さらには抗PD-L1抗体投与に伴って、癌幹細胞の腫瘍形成能に変化があるかも同時に行う予定としている。 これらin vitroの実験が終わり次第、平成29年度に予定していた癌幹細胞マウス皮内腫瘍モデルを用いたin vivoでの検証を行っていく。
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Causes of Carryover |
研究試薬購入にさいして、相見積もりを取り経費を削減するように心がけており、次年度への持ち越し可能となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後、腫瘍免疫に対する癌幹細胞の機能解析を行っていく予定である。
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Research Products
(2 results)